ブックマーク / sagasitasekai.com (9)

  • クリスマスソングを耳にしながらサンタの服の赤さに愛と寛大さを想い、キズナって哀しみの中で初めて生まれるよねって思い出したこと - 失われた世界を探して

    街にはクリスマスソングが流れ、行きかう人々の表情もなんだかウキウキしていて、というのは昔の話で、地味な感じの年末だなぁ、なんて思いながら歩いている。だいたい、みんなマスクしていて、街を行きかう人々が笑っているのか、泣いているのかよく分からない。人々はなるべく集まったりしてはいけないし、なるべく直接触れ合ってはいけないのである。会話もディスプレイ越しが望ましい。という具合の昔はSFの設定以外になかったような時代に、幼少期や思春期や青春を過ごした人たちが、我々の数十年後の老後を支えることになっている。いや、支えないだろう。感情なくゴミのように捨てるかも。自分たちだって貧しいし、別に年寄りだからって尊敬できるわけでもないし、そもそもアイツら生産性が低いし、みたいな感じで。 来年あたりから、「大学時代にサークルとか入る機会なかったですよ。講義も大半がリモートだったし、飲み会なんて高校時代の友人数人

    クリスマスソングを耳にしながらサンタの服の赤さに愛と寛大さを想い、キズナって哀しみの中で初めて生まれるよねって思い出したこと - 失われた世界を探して
    tamaminao
    tamaminao 2022/12/24
  • 落ち込んだ時に効く魔法のコトバをきっかけに、人生で出会って来た料理の数々を思い出したこと - 失われた世界を探して

    仕事でもプライベートでもなかなか上手く行かない、前に進んでいかない、苦しい、みじめだ、空しいなんて、腐るほど経験するのがフツーだけど、それが「フツーだよね」って寝そべりながらゲップでもするように言えるのは、その人が年をとっているからである。人間の年齢は我々に、肉体の衰えという悲しい試練を与えるが、同時に、「面の皮が厚くなる」という素敵な贈り物もくれるのだ。 が、若い人はそうは行かない。若い人たちは可能性という希望がある一方、傷つきやすさの呪縛の中で生きている。なかなか上手く行かない、前に進んでいかない、苦しい、みじめだ、空しい、のまま落ち込んで行き、そのまま気持ちが底の底まで墜落して行って、ある日、「仕事を辞めようと思います」と打ち明けて来る。 何?仕事辞めてどうするの?ユーチューバーになってバンライフとか始めるの?仕事なんてどこだって一緒だよ。どうせ天然資源がこれっぽっちもない貧しい国な

    落ち込んだ時に効く魔法のコトバをきっかけに、人生で出会って来た料理の数々を思い出したこと - 失われた世界を探して
    tamaminao
    tamaminao 2022/09/24
  • 「燃えよ剣」を見て久しぶりに司馬遼太郎の作品を思い出し、ついついサラリーマンの哀愁を思い浮かべたこと - 失われた世界を探して

    歴史好きのご多分に漏れず司馬遼太郎が大好きだった。学生時代に当に読み尽くして、エッセイも評論も随筆も全部読んで、文字になっているもので読んでないものはないくらい読んだ。それくらい好きだった。 作品の中でも、みんなに人気があるのはどうやら「燃えよ剣」や「竜馬が行く」や「坂の上の雲」で、やはりどれもドラマ化とか映画化をされている。そしてどれも160年以内の非常に最近の日人の話だ。だから今の我々と比較的似ていて、共感しやすいというのがあるのかもしれない。 でもやっぱり僕を魅了したのはちょっと古い時代の、しかもあんまり良くわからない(ということは想像するしかない)時代やジャンルの人間を描いた物語だった。 「箱根の坂」とか「梟の城」とかだ。戦国初期や戦国末期の、要するに日人が徳川300年でステレオタイプに収まって行く前の時代の、イキイキと、そしてドロドロと生きていた、今の日人とは全然種類の違

    「燃えよ剣」を見て久しぶりに司馬遼太郎の作品を思い出し、ついついサラリーマンの哀愁を思い浮かべたこと - 失われた世界を探して
    tamaminao
    tamaminao 2022/06/25
  • 東京の雪の景色を映像で見ると、北欧映画の数々を思い出すこと - 失われた世界を探して

    東京は大雪になるらしい。というか今年はやたら寒く、やたら雪が降る。比較的暖かい僕の住むこの地方都市にも、今年は何度か雪が降った。 東京時代、雪がチラつくとなんとなく北欧映画が見たくなって、レンタルビデオ屋へ足を運んだ。当時は笹塚に住んでいて、会社から帰る途中、駅から出て甲州街道へ歩きながら粉雪がチラつくのを目にすると、スーパーに立ち寄って夕材を買った後、アパートへ向かう途中にあったレンタルビデオ屋に入り、いろいろと借りた。そして一人鍋なんか作りながら、ゆっくりテレビデオで作品を見るのだ。「ボクたちはみんな大人になれなかった」の時代の一人の若者の話である。 北欧映画といってもいろいろあるが、90年代であれば「春にして君を想う」が有名な作品だ。これは老人ホームから抜け出した幼馴染のカップルが、ホームを抜け出し、生まれ故郷へ死への旅路に出かける話を描いた美しいロードムービーである。作品中に

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    tamaminao 2022/02/14
  • 天上の岬で青い空と海に囲まれて馬を眺め、冷や汁をお腹いっぱい食べたこと - 失われた世界を探して

    九州一周旅行は福岡の博多空港に降り立ったところから始まり、長崎、佐賀、熊、鹿児島を経て、宮崎に入った。宮崎にはどうしても行ってみたい場所があった。 都井岬である。 日向灘の南端にあるその美しい岬には、野生の馬たちがいるという。 その日もとても晴れていて、岬の上には突き抜けるような青空が広がっていた。美しい岬だった。絶壁の上に草原が広がり、その上をのんびりと馬たちが歩いていた。 全てが絵になる風景である。平日ということもあり、僕たち以外は誰もおらず、あまりに世離れしたゆったりした時間が流れていたので、なんだか別の国に来ているみたいだった。青い空と海を背景に、少し離れてその野生の馬たちを眺める。 さらに離れてみると、やっぱりこれは、もはや一枚の絵画だ。 すんごいや。こんな場所があるなんて信じられない。僕たちは時間を忘れて岬を歩いた。プラプラ歩いた。馬たちを眺め、海を眺め、空を眺めた。美味しい

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    tamaminao
    tamaminao 2021/11/24
  • 女心はくすぐられなかったようなので、自分が頑張ってオシャレな小物を揃えて家族の健康を祈ったこと - 失われた世界を探して

    家を建てた時に高品質低コスト・「住む」を目的に機能と動線を最優先、という具合に僕は話を進め、毎回、工務店との打ち合わせの都度、PCを持ち込み、事前に自分でエクセルで引いたレイアウト図や希望する仕様や材質を提示し、あわせてやはりこれも事前にネットで調べたそれらの相場価格、一般的な工賃、工務店側の想定利益(取り分)などをこちらから提示し、交渉の上、最終的に思い通りの家と金額になった。 普通は家を建てる時は、やはり夢のマイホームであり、「夢」の大半は奥さんの夢である場合が多いので、住宅営業マンは打ち合わせ時に常に奥さんの顔を見て語り掛け、「おしゃれな吹き抜けの〇〇はどうですか?」「おしゃれな出窓をこのあたりに取り付けたらどうですか?」とか、要するに女心をくすぐって口車に乗せて、およそ機能性とは無縁でそのぶん工務店にとっては利益幅の大きいオプションをどんどん勧めて来るのだが(あっという間に見積金額

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    tamaminao 2021/11/08
  • パルプフィクションと横浜の子供たちのこと - 失われた世界を探して

    もう四半世紀以上前の話だ。地方から上京してきた僕は、専門課程は都内にあったけど教養課程はキャンパスが横浜にあったので、出だしは横浜の寄宿舎で暮らし、横浜でアルバイトし、横浜友達を作って、横浜で青春時代を謳歌した。 90年代というのは当に暗い時代で、バブル崩壊後の長い冬の時代が続き(そのころはそのあと更に何十年も冬が続くとは思っていなかったが)、自然災害が立て続いて発生したり、得体のしれない猟奇犯罪も立て続けに起こったり、前代未聞の都市型テロが起こったり、そんな中、山手線や中央線へダイブする中年サラリーマンの横を、茶髪のルーズソックスがチーマーと腕を組んで闊歩するような、魑魅魍魎(ちみもうりょう)とした人の欲動が渦巻くどす黒い時代だった。 そんな中、僕は人格形成の最期を完成させ、そこで暮らしていた。横浜友達は生粋のハマっ子が多く、地方都市出身の僕にはその遊び方、人との距離感、ファッショ

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    tamaminao 2021/10/31
  • ミラン・クンデラの恋愛小説を通して愛を考えるということ - 失われた世界を探して

    いろんな作家に影響を受け、いわゆるハマって来たけど、学生時代に大好きだったのはミラン・クンデラとドストエフスキーだった。ドストエフスキーは卒論のテーマにした。ミラン・クンデラは卒業してからも繰り返し読み、まだ読んでいるから、よっぽど好きなんだろう。思想として読むことも評論として読むことも出来るその作品は、でもやっぱり瑞々しい文体とおしゃれなストーリー展開で、芸術文学としての意味合いが僕にとっては強い。ハードカバーの背表紙のイラストがどの作品もこれまたおしゃれで、棚に並ぶそれらのは何だか画集みたいだ。 初めてミラン・クンデラの作品で読んだのは「存在の耐えられない軽さ」だった。映画化されたからすごく有名だし、ベタといえばベタだけど、僕もこの作品から始まってそのあとどっぷり彼の世界に浸かった。 7部に分かれるこの物語は冷戦時代のプラハを舞台に繰り広げられる恋愛ストーリーだが、哲学的思考を行っ

    ミラン・クンデラの恋愛小説を通して愛を考えるということ - 失われた世界を探して
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    tamaminao 2021/10/02
  • ハイラインの「宇宙の戦士」で学生寮の生活を思い出し、そのあとのサラリーマン生活の修羅場を思い出したこと - 失われた世界を探して

    子供のころから乱読するタイプで、SFも結構読んだ。もちろんジュール・ベルヌの作品群は小学生だった僕の経典だ。生まれて初めて自分のお小遣いで買ったハードカバーの書籍が「二年間の休暇」だったし、これがあんまりお気に入りの物語だったので、何回も読んだ挙句、自分で原稿用紙に同じようなストーリー(無人島に流された少年が冒険するお話)を書き始めたくらいだ。小学生の頃の僕の夢は、小説家になることだった。 そして兄貴のすすめで読んでいた作家の1人にハイラインがいる。ロバート・A・ハイライン、右翼と言われつつも「2001年宇宙の旅」を書いたアーサー・C・クラークたちと並んでSF界のビッグスリーと呼ばれたその人だ。 ハイラインの小説のうち、日では「夏への扉」が大人気で、最近でも邦画として映画化されていたと思うが、僕はやはり「宇宙の戦士」こそが一番面白いと思っていた。そしてまさに、この小説のおかげでハイライン

    ハイラインの「宇宙の戦士」で学生寮の生活を思い出し、そのあとのサラリーマン生活の修羅場を思い出したこと - 失われた世界を探して
    tamaminao
    tamaminao 2021/10/02
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