メロスは激怒した。というのはもちろん太宰治の短篇(たんぺん)「走れメロス」の最初の一行。日本の小説の有名な書き出しを挙げるなら、漱石「吾輩は猫である」、川端康成「雪国」あたりとともにベスト3に入るにちがいないが、しかし実際には、――なんで名文なの?と思う人も多いのではないか。「吾輩は猫である。名前はまだ無い」ならわかる。人間ではない、名前もない存在がすらすら一人称の人語をあやつる設定は当時
最近、初めての「穂村弘」体験をした。 本当はちがうんだ日記 (集英社文庫) 作者: 穂村弘 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2008/09 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 49回 この商品を含むブログ (107件) を見る 確か、タイトルに惹かれて手にとったんだったか。すなわちこの人を知らなかったのだ。 そしていつものように読みながら気に入ったフレーズをフェイスブックやTwitterに流し始めると「ああ、穂村弘はあなたに合いそうだね」とコメント。 読み進めてみると確かにそうだ。ひさしぶりにエッセイがこんなに面白い。 今、2冊を読み終えたところ。手元にあともう1冊おいてある。歌人であるということなので、もう一冊は短歌に関する(ものであろう)本だ。 短歌という爆弾 ?今すぐ歌人になりたいあなたのために? 作者: 穂村弘 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2013/11/2
1週間ほど体調を崩してちょっとペースダウン。そんな8月もやっぱり「現代作家を読もう」キャンペーン中。今月も面白かったのは伊坂幸太郎。 首折り男のための協奏曲 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/07/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 冒頭の「長男は中国に、次男は中国地方の山口に住んでおり、なかなか会うこともない」という言い回しが、これから描かれる伊坂ワールドを示してる。 短い『透明ポーラーベア』もとてもおもしろかった。『I LOVE YOU』という複数作家の作品を編んだ短篇集からの抜き出しで、Kindle版が100円。 透明ポーラーベア/I LOVE YOU (祥伝社文庫) 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2013/03/22 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 短篇だけに
今月、パーソナルベストはまたしても伊坂幸太郎。『死神の浮力』だな。 死神の浮力 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 「浮力」を『日本国語大辞典』でみる。 静止している液体や気体の中にある物体がその液体・気体から上方へ引き上げるように受ける力。アルキメデスの原理により、物体が排除する流体の重さに等しい。 何かを「排除」したときに生まれる力が、あちこちでモチーフとして活用される作品。そのそれぞれに感心するし、そして直接的に「浮力」の言葉を使うシーンの選択に圧倒される。 死神シリーズでは『死神の精度』につぐ作品。こちらも好きだけど、かなり違った魅力があらわれている。個人的には「浮力」の方が好きだな。 死神の精度 (文春文庫) 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日:
ちょっと読書数が減ってしまった今月。『マリアビートル』に感動してしまった。「伊坂ワールド」のひとつの完成形なんじゃないかと思ったり(注:当方は伊坂幸太郎初心者)。 マリアビートル (角川文庫) 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2013/10/09 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (13件) を見る 但し、これをひとつの「完成形」として捉えると、もっと積極的に「暴力」が介在してくる伊坂作品も、また違う意味での「完成形」かと思えてきたりもする。そうか、つまりは伊坂幸太郎が素晴らしいんだな。 あと今月読んで幸せになった本の代表をあげろと言われれば『ヒト、動物に会う』かな。著者の小林朋道氏の本は今月『先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!』ってのも読んだ。『ヒト、動物に会う』の方がやや学究的な感じもするけれど、そこに著者の人間
著者の「万城目」が「百目鬼」に似ていて(よく見ると似てないけれど)、「百目鬼」は筒井康隆ファンにとって面白くない名前だというねじくれた理由で読むことを拒否してた(馬鹿だな)。 鴨川ホルモー (角川文庫) 作者: 万城目学 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2012/10/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る よくある地域+学生+(プチ)異世界ものかと腰の引ける始まりだけれど、読み進めるとすっかり引き込まれる。 読みながらつけたメモは次の通り。 torisan3500 ホルモー に関するツイート 続編(補遺)も面白かった。 ホルモー六景 (角川文庫) 作者: 万城目学 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2012/10/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ちなみにこの著者を読もうと思い立っ
『三省堂国語辞典』は四版、六版、七版と持っている(六と七はAndroid版)。カピバラに興味をもったのはこの辞書のおかげ。 この語釈を見るために『三省堂国語辞典』第七版を買う人もいるのではないか。「ねむそうな目と、間のびした鼻の下をもつ」=カピバラ #国語辞典 #辞書 #動物 pic.twitter.com/pbdkESLIro — maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 2月 5 この『三省堂国語辞典』の編纂者が書いているのが『三省堂国語辞典のひみつ』。辞書が好きな人ならぜったいに興味をもつはず。購入の背中押しに目次を書いておこう。 三省堂国語辞典のひみつ 作者: 飯間浩明 出版社/メーカー: 三省堂 発売日: 2014/02/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る はじめに ― 国語辞典の魅力と楽しみを 第一章 『
『辞書になった男』を買ってきて、夜中を通して一気に読んでしまった。 残念ながらテレビ番組は見てない。扱われるのは「宿敵」の印象がある二人。しかし二人ともに「アンタッチャブル...『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』佐々木 健一 ☆4 http://t.co/bZ2tUdh9di #booklog— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 2月 10 実は購入を悩んでいた。まず、もともとテレビ番組企画であったということ。基本的にテレビが好きじゃないので、ここでまずワンクッション。 さらに、扱われる「ケンボー先生」と「山田先生」がビッグネームすぎること。二人の間に軋轢があったという話はよく言われる。しかしあまりに影響力のある二人のことなので、そんな二人の「軋轢」を扱うなら、キレイ事で流してしまうのではなかろうかとも想像した。 あるいは逆になるけれど、センセー
本日の日経新聞読書欄の広告欄には「柊風舎」という出版社の広告が入っていた。 #日経新聞 #読書 欄の #広告。ちょっと面白そうだな。他にも『魔法と錬金術の百科事典』なんてのも出しているそうだ pic.twitter.com/PocKEfN3FP— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 2月 9 広告に載っている本だけでもとても楽しそう。「民族地図」とか「歴史」系はたくさん手元にあるから良いとして。 たとえば『民族楽器文化図鑑』。あれば楽しいだろうな。おまけに別宮貞徳先生の翻訳だ。 「歴史を変えた1001の戦い」も楽しそうだな。 ビジュアル版 世界の戦い歴史百科―歴史を変えた1001の戦い 作者: 竹村厚士,R.G.グラント,R.G. Grant,藤井留美 出版社/メーカー: 柊風舎 発売日: 2013/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 『
30年くらいぶりに読んでいる『田舎教師』に「弁当腹」という言葉が出てきた。 田舎教師 作者: 田山花袋 発売日: 2012/09/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 『田舎教師』について 作者: 田山花袋 発売日: 2012/09/13 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 意味は文脈からすぐ分かるけれど、どうしてそういう意味になるのかよくわからない。それならば辞書を引いてみようといろいろとあたってみたけれど、なかなか掲載されていない。 手元の辞書では『日本国語大辞典』にしかないようだ。 弁当で間に合わせに食事をした程度の腹具合。 用例も『田舎教師』から引かれていた。 *田舎教師〔1909〕〈田山花袋〉一四「辨当腹(ベンタウバラ)で、長い路を歩いて来たので」 先にも書いたように、文脈を見れば意味はすぐわかる。ただ、「弁当腹」という言葉だけを見れば
イーディス・ネズビット(Edith Nesbit, 1858年8月15日 - 1924年5月4日)は、イギリスの小説家、詩人。E・ネズビットの名義で多くの児童文学を書いた。共著書も合わせると60冊以上の本を刊行し、いくつかは後に映像化もなされた。彼女は政治活動家でもあり、フェビアン協会の初期のメンバーの一人であった。結婚後の本名はイーディス・ブランド(Bland)。日本語表記は、名がエディスとも、姓はネスビットともされる。 サリー州ケニントン(現在では大ロンドンのランベス区界隈)で、農業化学者ジョン・コリス・ネズビットの娘として生まれた。父は彼女が四歳になる前に死亡した。病気がちだった姉の転地療養のため、3年間でブライトン、バッキンガムシャー、フランス、スペイン、ドイツの各地に暮らし、その後ケント州ホールステッド(Halstead)に定住した。この地方の景観は後の作品『若草の祈り』に影響を
ものすごく久しぶりに『ジュラシック・パーク』を読んでいる。コンピュータ会社で仕事を始めた頃に邦訳が出たのだったと記憶する。 ジュラシック・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) 作者: マイクルクライトン,Michael Crichton,酒井昭伸出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1993/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 33回この商品を含むブログ (29件) を見る Wikipediaにあるように「原作自体のモチーフは本来カオス理論であった」。それもあってコンピュータ業界に関係する人の間で大流行した。 フラクタル曲線から分岐線が発生すると同時に、唐突に変化が現れるかもしれない via 『ジュラシック・パーク』 pic.twitter.com/M3TVPV5Qdj — maeda hiroaki (@torisan3500) August 29, 2013 章区切りごとにフラ
退職後に大学のことをあれこれ考えるのも妙なことだが、本題を語るには避けられなかった。教育の本質は「教え育てる」ことだと信じてきた。ところがいつの間にか理解に苦しむ学生が目立つようになり、教わる側のことをあらためて意識するようになった。 一九七九年、国公立大は入学試験で共通一次試験を義務化、これを東大は一段階選抜として利用した。二年後、その学生が本郷(学部)に進学してきた。当時私は助手、主な業務は学生実習で、駒場(教養課程)から進学直後の学生を相手にしていた。実習では雑談も多い。 しばらくして違和感を覚えた。個性的で豪快な学生が少ないのだ。翌年も同じ、駒場の同僚に話すと、彼らが共通一次世代であることがわかった。入試制度で学生の個性が変わることを知った。 学生は三年生の冬学期に希望する研究室を選ぶ。配属先が決まって最初に口にすることは「テーマをくれ」である。教員も当然のように従う。今では教員の
This collection contains cultural heritage materials gathered during the World Digital Library (WDL) project, including thousands of items contributed by partner organizations worldwide as well as content from Library of Congress collections. The original World Digital Library site (preserved in LC’s Web Archives here) and all descriptive metadata were translated from English and made available in
「ビブリー」は2009年12月29日をもちまして、サービスを終了致しました。 *「ビブリー」サービス終了のお知らせ 【おすすめサービス】 「みんなの物々交換」 ネットオフの運営する物々交換サイトです。 交換にはチケット方式を採用しマッチングしやすくなっています。 イーブックオフの購入履歴取り込みや、セット交換機能・ブラックリスト機能など機能が多彩で、CDの交換にも対応しています。 現在チケットプレゼントのキャンペーン中です。 「みんなの本棚」 本、CD、DVD、ゲームのバーチャル本棚サービスです。 木目調の本棚の他、クールなスチール製の本棚、ちょっと渋目の和風本棚などデザインが大変充実しています。 「ビブリー」を蔵書管理ツールとしてご利用頂いていた方におすすめです。
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