「歌はただよみあげもし、詠じもしたるに、なにとなくえんにもあはれにもきこゆる事のあるなるべし」 藤原俊成 披講とは何でしょうか? 和歌の披講とは、新しく作られた和歌を読み上げたのち、節をつけて歌うことをいいます。和歌の発生当時からこのような口頭での披露は行われていたと思われますが、「披講」と呼ばれるようになったのは鎌倉時代以降です。和歌だけでなく漢詩の場合も同様に「披講」といいます。似たような言葉に「朗詠」がありますが、これは有名な漢詩に節をつけてうたう歌謡の一種で、「披講」とは区別されます。有名な和歌を口ずさむことも、同じような意味で「披講」とは呼ばず、たとえば「吟詠」などということがあります。 披講とはどんなふうに行われるのでしょうか? 和歌の場合は、「歌会」や「歌合(うたあわせ)」などの場で、基本的に一回読み上げてから二回目に歌う、というのが基本形になっています。読み上げるだけで歌う