空き家・空室の増加や、事業者や金融機関による不正問題の発生から、賃貸住宅供給をめぐる世間の見方は厳しさを増している。「新たな物件は必要ないのではないか」などと考えている方もいるだろう。では、本当に新規物件の供給は減っていくのだろうか。本稿では、超高齢化や子育て環境の改善など、人々や社会が抱える問題に対処する物件の事例を紹介し、今後の賃貸住宅供給のあり方を探ってみた。 仲良く活発に遊ぶ子どもたちと、その様子を見守りながら世間話を楽しむママさんたち。かつての長屋暮らしのような光景が広がるのは、東京・杉並区にある賃貸住宅「母力(ぼりき)おぎくぼ」(2015年11月竣工)だ。「ヘーベルハウス」でおなじみの旭化成ホームズグループが企画から施工、入居者募集、管理、運営までを行っている。 建物は東西2棟、14戸で構成される2階建てで、住戸はすべて2LDK(広さは61.43㎡~75.87㎡)。対面型システ