先週、朝日新聞の紙面上に、安保報道に苦言を呈する外部識者のコラムが相次いで掲載された。ジャーナリストの池上彰氏は、6月26日付朝刊に掲載された「新聞ななめ読み」で、安保法制に関する国会の参考人質疑で、朝日が元内閣法制局長官の発言の一部を正確に伝えず、実際と異なる印象を与える報じ方をしていた問題を指摘した。翌日には、朝日が4月に新設したパブリックエディター(PE)の小島慶子氏が、ドイツ軍の「集団的自衛権の事例」について報じた昨年6月15日付記事を取り上げ、「適切な説明を省き、集団的自衛権の行使で死者が出たと印象付けようとしたと読者に不信感を持たれて当然」と論評した。この2つのケースは共通の問題点を浮き彫りにしている。読者に自ら判断してもらうために正確な情報を提供するのではなく、読者がメディアと同じ意見に導かれるよう都合よく情報を提供しようとする報道姿勢である。それぞれのケースを具体的にみてみ