糖質制限、すなわち炭水化物を減らし、脂質やタンパク質の比率を増やす食事方法は1970年代にアトキンス・ダイエットとして有名になりました。ロバート・アトキンスというアメリカ人が提唱したもので、ぼくがアメリカで臨床研修を受けているときはこのアトキンス・ダイエットが大ブーム。患者さんの中にも(そして仲間の医者たちにも)実践している人がけっこういました。もっとも、日本には1950年代に和田静郎という人がやはり糖質制限食を推奨していたようですね。 糖質制限を有名にしたのは夏井睦氏の「炭水化物が人類を滅ぼす」(光文社新書)です。ぼくは夏井氏の傷の治療、「ラップ療法」を愛用し、前著「傷はぜったい消毒するな」(同)も興味深く読んだので、本書も発売すぐに買いました。 夏井氏はこの本の冒頭で「本書では、中年オヤジでもスリムに変身できる方法を紹介する」とあり、「誰でも簡単に、短期間で努力なしに、ほぼ確実に痩せら