2009年12月26日16:43 カテゴリ本経済 ヒトラーの経済政策 鳩山首相の政治生命も、秒読みになってきたようだ。1年もしないうちに首相がコロコロ変わる「ワイマール症候群」が続くと、国民の中にヒトラーのような「強い指導者」を望む群衆心理が出てくるのは、古今東西を問わない。日本ではそういう心配はないと思っていたが、「100兆円の国債の日銀引き受け」を主張する亀井静香氏が鳩山氏の次の首相候補に擬せられるのを見ると、万が一のリスクも考えたほうがいいのかもしれない。 ナチは一般に思われているように大資本の利益を代弁したわけではなく、その正式名称「国家社会主義ドイツ労働者党」が示すように、労働者の党だった。ヒトラーはユダヤ人に代表される大資本を攻撃して弱者のルサンチマンに訴え、短期間に権力を掌握したのだ。彼はメーデーを国民の祝日として労働組合を統合・強化し、「生活に困っている者をまず助ける」とい
はてなブックマークでツイッターにブックマークつけてるのを見ると、電子メールをFAXで送るオヤジを連想する。
2009年12月14日12:20 カテゴリ経済 サミュエルソンの負の遺産 ポール・サミュエルソンが死去した。今の学生にはほとんど知られていないだろうが、私の学生のころは、彼の教科書の影響は絶大だった。日本人にとって彼の最大の功績は、マル経を追放して「近経」を主流にしたことだろう。しかし私の同世代では、近経を勉強したのは経済学部の学生だけで、法学部卒の人々の多くはいまだにマルクスを卒業できない。民主党政権の中枢には70年安保のころの活動家が多く、マルクス的な温情主義が残っている。 ただサミュエルソンの教科書には、学生でもわかる矛盾があった。前半のミクロ理論では、需要と供給が一致しないときは価格が動いて両者を一致させると教えるのに、後半のマクロでは失業(労働の超過供給)は市場では解決できないと教えるのだ。これは素直に考えると、賃金(労働サービスの価格)が高すぎるためで、賃金を下げれば失業はなく
2009年11月23日11:27 カテゴリ経済本 成長戦略とは競争戦略である 菅副総理は、いま日本の成長戦略を「深く考慮中」だそうである。「小泉・竹中路線が失敗した」という評価には疑問もある(2003年以降、成長率は上がった)が、それはともかく、日本の成長戦略を考える上での必読書を紹介しておこう。 本書は、2000年にマイケル・ポーターと一橋大学のチームが日本企業の高度成長期の成功と90年代の失敗の原因を分析したものだ。特に一時「日本株式会社」などといわれて過大評価された政府の役割を検証し、次のような結論を出している:われわれは、広範にわたる成長産業において、日本型政府モデルに通じるような政府の役割は、全くといっていいほど存在しなかったことを発見した。[自動車・家電・精密機械などの]成功産業では、政府による大規模な補助金制度は存在せず、競争への介入もほとんど存在しなかった。日本経済の長期的
2009年11月22日10:32 カテゴリ科学/文化 IPCCの「データ捏造」疑惑 気候変動データについてIPCCの科学者が議論したEメールが、イギリスの大学のサーバへのハッカーの攻撃によって外部に持ち出され、Google documentとして公開された。NYタイムズなど主要紙もこれを報じ、大学もEメールが本物だと確認している。内容は1999年から現在に至るまでの膨大なものだが、温暖化懐疑派のサイトの分析によれば、その中にはIPCCの中立性を疑わせるものがある:From: Phil Jones To: ray bradley ,mann@virginia.edu, mhughes@ltrr.arizona.edu Subject: Diagram for WMO Statement Date: Tue, 16 Nov 1999 13:31:15 +0000 Cc: k.briffa@ue
読者に誤解を与えるといけないのでお断りしておくと、きのう西さんと私は論争したわけではなく、基本的な意見は一致しました。私がブログ記事で問題にしたのは、スパコン自体の是非ではなく、その調達方法です。早い話が、もし国際入札で富士通のスパコンが選ばれていれば、何の問題もない。ところが西さんの説明でも、富士通の設計(SPARC64の超並列化)では300億円以下のコストしかかからない。それがなぜ1230億円になるのか。ここが問題です。 先週発表されたスパコンのTOP500では、クレイの「ジャガーXT5」が第1位になりましたが、その性能は1.7PFLOPSで価格は1990万ドル(約18億円)。これはアップグレードなので、総コストは50億円程度と推定されます。ここからTFLOPS単価を計算すると、300万円程度。10PFLOPS機なら300億円以下で調達できるはずです。 このスパコンの話題は、きのうの慶
ほとんど日刊池田信夫というか、あまりにも池田信夫ウォッチングが楽しすぎてどうにもならない最近ではありますが、一昨日koiti_yano氏に反論され煽られた池田信夫氏、横からパンチを全弾被弾したことを受け烈火の如く激怒しtwitterで敢然と反撃であります。 デフレについての補足* http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51310197.html [マクロ経済学] インフレとデフレと景気に関するよくある質問集 http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20091109 池田信夫氏が、「横からからんできた矢野浩一氏も中途半端に謝ったたまま逃げてしまった」とまさかの勝利宣言。twitter上では光の速さで一日以内にyano_koichi氏が逃げたと豪語され、面白すぎて目が離せません。 一応、元ネタは勝間和代女史のドキドキ国家戦略室
2009年11月07日10:53 カテゴリ経済 勝間和代氏のためのマクロ経済学入門 菅直人副総理(国家戦略室担当)に対して、勝間和代氏が「まず、デフレを止めよう」と題したプレゼンテーションを行なったようだ。その内容は出来の悪い学生の答案みたいな感じだが、これが国家戦略に影響を及ぼすとなると放置できないので、少しコメントしておこう。 まず勝間氏は「日本はデフレスパイラルの真只中にあることを再認識して下さい」(p.2)と題してグラフを出し、「※OECD定義によれば、「デフレ」と「デフレスパイラル」は同義です」と書いている。このOECDの定義とは何を意味するのか不明だが、たとえばOECDが財務省に行なった説明では、Persistent deflation may degenerate into a deflationary spiral of falling prices, output, pr
★★★★☆ (評者)池田信夫 生命保険のカラクリ (文春新書) 著者:岩瀬 大輔 販売元:文藝春秋 発売日:2009-10-17 おすすめ度: クチコミを見る 大手生命保険会社に就職した私の友人が、3年ほどでやめて大学院に入り直した。理由をきいたら「客をだましてもうける仕事がいやになった」という。彼の話では、日本の生保は「生保のおばちゃん」を使って彼らの親戚を加入させ、外務員を使い捨てて加入者を増やしていくビジネスで、金融商品としてのリターンはマイナスだという。 おばちゃんは「万が一のときに備えるとともに利殖にもなる」と勧誘するが、そんなうまい話があるだろうか。次の二つの医療保険があるとして、あなたはどっちに加入するだろうか? 保険料が10万円で、病気になったら医療費を払ってくれる「掛け捨て」 保険料が20万円で、病気になったら医療費を払い、無事に満期を迎えたら10万円の「ボーナス」が払い
Twitterにおける池田信夫への罵詈雑言が酷すぎる件 http://anond.hatelabo.jp/20091011164125 これを読んで、思ったことをつらつらと。 まず、池田先生のネットに対する姿勢がよく表れている、この記事を引用させていただく。 ひろゆきは「賠償金を取る方法はない」と高をくくっているようだが、バブルの処理のときは、同様に開き直る不動産業者を警察は「競売妨害」などの罪で大量に投獄した。要は「あいつは悪い奴だ」というコンセンサスができるかどうかが問題で、そういう「国策」があれば犯罪は(よしあしはともかく)いくらでもつくれるのだ。ライブドアやWinnyには擁護論が高まったが、2ちゃんねるが閉鎖されても同情する人はほとんどいないだろう。 前にも書いたように、排泄物を見れば健康状態がわかるという意味では、2ちゃんねるにもいくらかの意味はあるかもしれません。異様な匿名志向
鳩山首相がCO2を25%削減する「鳩山イニシアティブ」を高らかに宣言し、世界各国がそれを賞賛するのをみて、経済学者ってどこの国でも無視されてるんだなと思った。Mankiw blogの読者ならご存じのように、世界の主要な経済学者は、排出権取引よりも環境税のようなピグー税のほうが効率的で公正だと主張しているのだが、政治家にはまったく理解されない。それどころか、この二つが代替的な政策手段だということさえ認識してない人が多い。民主党のマニフェストに至っては、キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引市場を創設する。 地球温暖化対策税の導入を検討する。と併記する支離滅裂なものだ。この両方を同時に実施することは不可能である。たとえば、あるCO2排出企業が、その排出権を中国から買って排出量をまったく削減しなかったら、どうするのだろうか。その企業に環境税を課税したら二重負担になるから、企業は購入し
自民党総裁選では、谷垣禎一氏と西村康稔氏が「小泉改革が地方経済の疲弊や格差を生んだ」と批判する一方、河野太郎氏が小泉改革を継承する姿勢を打ち出し、争点が明確になってきました。谷垣氏と西村氏が「地方」を強調するのは、国会議員票より多い地方票を意識してのことでしょうが、はたして今までのように地方に補助金をばらまくことが「地方の重視」になるのでしょうか。 そもそも地域間の格差が拡大したのは、小泉政権が原因ではありません。前にも紹介した図のように、地方から都市への人口流入は戦後、一貫して続いています。90年代に地方の公共事業によってわずかながら逆流し、小泉政権が公共事業を減らしたため元に戻りました。これによって地方の土建業が苦しくなったことは事実でしょうが、無駄な公共事業をいつまでも続けることは不可能であり、これは戦後ずっと続いている長期トレンドに戻っただけです。 この人口の都市集中が都市と地方の
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