「劇画」という名称は辰巳ヨシヒロの考案によるものであり、劇画工房の誕生以降の劇画ブームによって世間一般に名称が定着した。 劇画とは、それまでの漫画から一線を画した漫画表現の手法であり、青年向け漫画を子供向けの漫画と異化・区別させるために作られたジャンルでもある。従来の漫画はあくまで子供向けであり、辰巳らは自分たちの作品がそのような評価を受けることを極端に嫌っていた。貸本劇画の読者層は労働者階級の若者であり、また劇画工房のメンバーも同じような階層の若者であった。作風としてはハリウッド映画やハードボイルド小説の影響が大きい。 劇画という名称は1957年(昭和32年)末に、名古屋の貸本出版社「セントラル文庫」から出版された漫画短編集『街 12号』に掲載された辰巳ヨシヒロの「幽霊タクシー」で初めてその扉ページに使用されたとされる。以降、辰巳は新しい漫画のジャンルとして「劇画」という名称を積極的に使