■「トルタの国語 冒険の書」(2010)掲載作。国語の教科書風というテーマだったため、中学生の頃の自分に語りかけるイメージで書いた。個人的にもっとも思い入れのある文章。 きみは青春のなかにいる。勘違いしてはいけない。輝かしい恋や友情や挑戦の日々ばかりが青春ではない。青春とは身体におさまりきらないエネルギーが無軌道に暴走していく時期のことだ。友達も恋人もいなくて、いいことなんてひとつもなくて、休み時間はずっと机に突っ伏して眠ったふりをしたまま悶々と思い悩む鬱屈した日々にだって、まばゆいばかりの輝きがある。声にはだせないけれど、お腹の奥に煮えくり返ってどうしようもない言葉があるはずだ。まだ真っ黒なかたまりのままとぐろを巻いているだろうその言葉が、いつか竜巻のようなうねりとともにきみの身体を突き破ってくる。言葉という真っ黒なうねりはきっと世界のすべてを吹き飛ばして、きみがきらいなあらゆるものをち