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  • 超映画批評「日本と再生 光と風のギガワット作戦」75点(100点満点中)

    「日と再生 光と風のギガワット作戦」75点(100点満点中) 監督:河合弘之 取り残されてゆく日 変化を体感できるドキュメンタリー映画ほど観客が熱中するものはない。まして社会そのものを変える意欲に満ちた映画ともなればその興奮たるや想像に余りあるが、日でそこまでの影響力を映画が持つことは少ない。その、数少ない映画の一つになろうというのが、反原発訴訟の中心弁護士、河合弘之監督による作品群である。 その3作目となる作は、これまでの脱原発に加えてその代案としての「自然エネルギー」を徹底的に分析する。批判だけならだれでもできる、では原発をなくしたあとの未来はどうあるべきか。それが監督が描こうと試みた主題である。 この手の反原発モノは腐るほどあるから、いいかげん見る側も飽き飽きしているかもしれないが、さすがは異業種監督。この映画は最初の1秒目から、凡百の反原発映画との違いを見せつける。いきなり

    castle
    castle 2017/02/28
    「いま日本の一部の人々は、あえて自然エネルギーを大成功しない程度に進め「やっぱりあてにならないね」などと国民が諦めざるをえない方向にもっていこうとしている」「むろん、自然エネにも問題は山積」
  • 超映画批評「シン・ゴジラ」90点(100点満点中)

    「シン・ゴジラ」90点(100点満点中) 監督:樋口真嗣 出演:長谷川博己 竹野内豊 ハリウッド版をすら凌駕する、これぞ2016年の日にふさわしい新ゴジラ 私は「シン・ゴジラ」が完成した直後、その事をある制作スタッフから聞いた。やがて試写予定についても別会社のスタッフから知らされていた。だが結局、公開までに通常の大々的なマスコミ向け試写会は行われなかった。 あの庵野秀明総監督の事だから、完成といいつつポスプロの沼に嵌ったか、あるいは初号試写を見た宣伝チームが急きょ事前に我々に見せることをやめる判断をしたのか。いずれにしても映画ライターの間ではこういう場合、ろくな結果にならないとの経験則がある。 しかも、たまたま見に行った都心の映画館の入りがきわめて悪かった(上映10分前の段階でなんと私一人)事もあり、不安は増大する一方だったが、なかなかどうして、「シン・ゴジラ」は期待をはるかに上回る大傑

    超映画批評「シン・ゴジラ」90点(100点満点中)
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    castle 2016/07/29
    「前半の過剰リアル政治ドラマの印象が残る観客は、きっとそう感じずにトンデモバトルに没頭し、感動し、大興奮するに違いない。もしあのバトルを最初から見せていたら、こうはいかなかっただろう」
  • 超映画批評「アメリカン・スナイパー」100点(100点満点中)

    アメリカン・スナイパー」100点(100点満点中) 監督:クリント・イーストウッド 出演:ブラッドリー・クーパー シエナ・ミラー 神からの警告 アメリカでこの映画のことを好戦的とか、ヒロイズムを強調しすぎだとか、アメリカ万歳イズムだなどといって批判する人たちがいると聞いて、私は仰天した。いったいどこをどう解釈すれば、そんな真逆の受け取り方をするのだろう。 頑健な肉体と精神、たぐいまれな能力に恵まれたクリス(ブラッドリー・クーパー)は、強者に生まれた責任感と愛郷心から海軍に志願する。やがて特殊部隊ネイビー・シールズ最強の狙撃手となった彼は、イラク戦争の最前線で目覚ましい活躍を見せる。だが、同時にテロリストにとって高額の賞金首となるのだった。 オバマ大統領夫人まで巻き込んだ大議論となっている「アメリカン・スナイパー」をめぐる騒動だが、それも納得のすさまじい完成度である。私に言わせればこの映画

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    castle 2015/03/02
    「100点/偶然とは思えないタイミングで関係者が亡くなる事件がおこり、その結果、脚本を書きなおす結果となったわけだが、じっさい映画を見れば、それがパーフェクトとしか言えない、まさに神がかったエンディング」
  • 超映画批評「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」70点(100点満点中)

    「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」70点(100点満点中) 監督:ジョン・ファヴロー 出演:ジョン・ファヴロー ソフィア・ベルガラ キューバ万歳 映画「アイアンマン」などの監督や出演で知られるジョン・ファヴローだが、「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」では製作・脚・監督・主演をつとめている。いかに彼がこいつを作りたかったのかがわかるというものだが、なるほどその思い入れも理解できる、たいへん気持ちのいいロードムービーである。 シェフのカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、創意工夫の余地がないマンネリなコース料理ばかり作らされてオーナー(ダスティン・ホフマン)と大喧嘩してしまう。店にいられなくなった彼は、中古のフードトラックをなんとか入手してサンドイッチの移動販売をしようともくろむが……。 オンボロトラックを父子が自分たちの手できれいにし、改造して立派な移動販売車に仕上げ

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    castle 2015/03/02
    「主人公達が作るサンドは単なるキューバサンドではなく、米国各地の郷土料理の要素を旅の途中でミックスさせていく。それが、全米でどう受け入れられてゆくか~こういう作品こそが優れたプロパガンダなのである」
  • 超映画批評「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」70点(100点満点中)

    「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」70点(100点満点中) 監督:チアン・ショウチョン 出演:永作博美 佐々木希 女性が描く女性の物語 今年の東映は岬とコーヒーがよっぽど好きなようだが、トホホ感の強かった吉永小百合コーヒー店とは違い「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」は、主要なキャストの演技力を堪能できる力作に仕上がっている。 故郷の奥能登で焙煎珈琲の店を開いた岬(永作博美)は、隣に住む小学生の娘と交流するようになる。その子の母親・絵里子(佐々木希)はキャバクラ嬢をしながらシングルマザーとして育てていたが、はた目にはとてもじゃないが、まともな母親には見えないのだった。 徹頭徹尾、父性が不在な物語。わけありなハイミス女と、母親になるには未熟すぎるシングルマザー、そしてその娘。世間から阻害された3人の弱き女たちが身を寄せあいなんとか生きる道を探る。そんな共感度の高いドラマで

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    castle 2015/03/02
    「徹頭徹尾、父性が不在な物語。わけありなハイミス女と、母親になるには未熟すぎるシングルマザー、そしてその娘。世間から阻害された3人の弱き女達が身を寄せあいなんとか生きる道を探る」
  • 超映画批評「誰よりも狙われた男」60点(100点満点中)

    「誰よりも狙われた男」60点(100点満点中) 監督:アントン・コルベイン 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン レイチェル・マクアダムス 9.11後の諜報戦を描く イスラム国、シリア、イラン、アフガニスタン……アメリカはいったい誰と戦っているのか。全員か、それとも誰とも戦っていないのか。多極化を絵にかいたような国際情勢の全貌が見えてくるのはいつになるのか。 ドイツのハンブルグで、チェチェン人青年(グリゴリー・ドブリギン)の密入国が当局にキャッチされる。イスラムのテロリストと疑う彼らは即座に逮捕しようとするが、テロ対策チームのリーダー、ギュンター・バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は彼を泳がせ、さらなる大物との関係を探るべきだと主張する。 元Mi6の原作者ジョン・ル・カレによる同名小説映画化。映画では9.11事件によって大きく様変わりした諜報戦の現場を、リアリティたっぷりにみせ

    castle
    castle 2014/11/23
    「ところがこの映画は、そんなものは甘っちょろい民間人の浅知恵だよといわんばかりに全く異なった発想の人間たちを登場させる」「私たちの考える安全保障の発想じたいがもう時代遅れになりつつある」
  • 超映画批評「オール・ユー・ニード・イズ・キル」85点(100点満点中)

    「オール・ユー・ニード・イズ・キル」85点(100点満点中) 監督:ダグ・ライマン 出演:トム・クルーズ エミリー・ブラント チャラ男トム・クルーズのゲームブック人生原作の超大作がこの夏は続くわけだが、圧倒的イチオシの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は、原作要素を大幅に改編した大胆さが功を奏した。 近未来、異生物による侵略を受けた人類は、空爆が効果を上げない敵に対し重武装の歩兵で対峙していた。戦況は芳しくなく、民間人へのプロパガンダを受け持っていたウィリアム・ケイジ少佐(トム・クルーズ)まで最前線におくられることになったが、戦闘訓練を受けていないケイジは戦闘開始数分で戦死する。だがその瞬間、彼は出撃前日の朝へとタイムリープしているのだった。 桜坂洋のライトノベルがハリウッドの予算178億円の超大作になるときいて、これはとんでもないジャパニーズ(?)ドリームだと思ったものだが、実際

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    castle 2014/07/03
    「死ねばリセットという単純なアイデアを、人類滅亡の危機たる戦闘の前日に配置するだけでこれほど面白い話が」「最初はチャラ男だったトム・クルーズが、初陣ながら徐々に古参兵の表情になるところなど演技も適格」
  • 超映画批評「それでも夜は明ける」70点(100点満点中)

    「それでも夜は明ける」70点(100点満点中) 監督:スティーヴ・マックィーン 出演:キウェテル・イジョフォー マイケル・ファスベンダー 作品賞受賞は当然 昨年の「リンカーン」(スティーヴン・スピルバーグ監督)、「ジャンゴ 繋がれざる者」(クエンティン・タランティーノ監督)を例に挙げるまでもなく、アカデミー賞では奴隷制度の時代を舞台にした映画が根強い人気を持つ。だが、それはあくまでノミネートまでで、オスカーの歴史を調べてみると、実際に受賞した「黒人差別」「奴隷制度」映画はほとんどない。だから「それでも夜は明ける」も当然ノミネートだけだろうと事前に予測していたが、鑑賞後にその思いは一変させられた。今年の作品賞(ただし主演賞と監督賞は逃す)はこれで決まりだと確信した。 ニューヨークで音楽家として成功し、子と幸せに暮らす黒人のソロモン(キウェテル・イジョフォー)。ところが興行中、彼は拉致され南

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    castle 2014/07/03
    「「白人批判でも制度批判でもない」黒人差別映画をひねりだした~悪役は「白人」ではない。この映画はあくまで「不法に誘拐され、酷い目にあった男」の話で、一番悪いのは「誘拐犯」である。たまたま白人だったが」
  • 超映画批評「アクト・オブ・キリング」90点(100点満点中)

    「アクト・オブ・キリング」90点(100点満点中) 監督:ジョシュア・オッペンハイマー 全部ガチならとんでもない映画 園子温監督の映画に「地獄でなぜ悪い」(13年)というのがある。物のやくざの抗争と殺し合いを、映画の見せ場として撮影する映画オタクの話だ。もちろんフィクションのコメディー映画だが、斬新な作風が好評を得た。 ところが世の中は広い。アメリカには、なんとそれを地で行く映画監督がいた。 1965年、9月30日事件と呼ばれる大虐殺がインドネシアで起きた。ときのスカルノ政権に対するクーデター未遂のどさくさの中、大勢の共産主義者らが殺されたこの事件。その実行犯を取材したジョシュア・オッペンハイマー監督は、自分たちを革命の英雄と思い込んでいる彼らに対し、それなら自らのしたことを再現し、映画に記録してはどうかと提案する。 再現映画とはいえ、物の殺人者を集めて人を演じさせるとは、怖いもの知

    castle
    castle 2014/07/03
    「本物の殺人者を集めて本人を演じさせ」「集団催眠的な男達の様子と(彼らの妻子の反応)の対比を目の当たりにすると、歴史上何度もおきた大虐殺というものが、どういう心理学的メカニズムでおきるのかわかる気が」
  • 超映画批評「ゼロ・ダーク・サーティ」65点(100点満点中)

    「ゼロ・ダーク・サーティ」65点(100点満点中) ZERO DIRK THIRTY 2013年2月15日(金)よりTOHOシネマズ有楽座ほか全国にて公開 2012年/アメリカ/カラー/158分/配給:ギャガ 監督:キャスリン・ビグロー 脚:マーク・ボール 出演:ジェシカ・チャステイン ジェイソン・クラーク 社会派ドラマか、プロパガンダか 現職の再選が危ぶまれる大統領選挙の年に、それも投票日の直前に現職大統領の最大の功績をヒロイックに映画化したものを公開する。 どう見ても言い訳のしようがない、完全無欠のプロパガンダである。それを違うと評する人間は単なる脳内お花畑なのであって、外の人間から見ればこれは失笑が漏れるほどの、ああまたやってるね、の世界である。 テロリスト関係者をとっ捕まえては拷問を繰り返すも、CIAはいまだオサマ・ビンラディンの行方をつかめずにいた。やがて赴任してきた若き女性マ

    castle
    castle 2013/04/14
    「現職の再選が危ぶまれる大統領選挙の年に~完全無欠のプロパガンダ」「CIA全面協力のウサーマ・ビン・ラーディン殺害事件の映画化」「他は緊迫感があるのに、拷問関係のシーンはジョークかと思うほどバカバカしい」
  • 超映画批評「東京家族」65点(100点満点中)

    「東京家族」65点(100点満点中) 2013年1月19日(土)全国ロードショー 2013年/日/カラー/146分/配給:松竹 監督:山田洋次 脚:山田洋次・平松恵美子 撮影:近森眞史 照明:渡邊孝一 出演:橋爪功 吉行和子 西村雅彦 夏川結衣 中嶋朋子 林家正蔵 夫服聡 蒼井優 山田洋次版「東京物語」 全国民の共通言語を失いつつあるアメリカにおいて、その最後のテーマである家族愛を描いた作品が量産されていることは何度も述べた。いつの時代でも、どの国においても、家族のすばらしさを描いた映画はいいものだ。だが、クリエイターがそんな話しか思い浮かばなくなったら、それは末期症状だ。 久々に上京してきた平山周吉(橋爪功)とのとみこ(吉行和子)だが、長男の幸一(西村雅彦)ら東京の子供たちの生活があまりにせわしなく、どこか孤独感を感じ始める。そんな中、とみこは問題児と思っていた次男(夫服聡)か

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    castle 2013/01/20
    「いつになっても家族からは新しい発見と感動を得ることがある。それは、長年付き添った者の死の時でさえ、そうである。それを知る大人の観客達は、ある人物が「君はここにいていいんだ」と叫ぶとき、涙を誘われる」
  • 超映画批評「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]」70点(100点満点中)

    「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]」70点(100点満点中) 2012年日/124分/松竹=アスミック・エース 2012年12月22日(土)丸の内ピカデリー他全国ロードショー 監督:金子文紀 脚:神山由美子 原作:よしながふみ 出演:堺雅人 菅野美穂 尾野真千子 柄佑 前作より良くなった 男女逆転設定によるユニークな時代劇「大奥」シリーズの第二弾。特殊な伝染病により男子が激減した江戸時代を舞台に、将軍職をつとめる「女性」の生きざまを描いた物語だ。 この奇妙なアイデアは、いったい何のために(どんなテーマを描くために)採用されたのか。 このシリーズを鑑賞するにあたって私が真っ先に思ったのはそこで、両作品とも注目していたわけだが、このパート2は前作よりもその点においてはっきりとしたポリシーが感じられて好感を持った。なんといっても、この男女逆転設定に必然性を持たせられなければ、この作品はただ

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    castle 2013/01/20
    「安定した世を続けることの困難さ、つまり権力をつつがなく継承させるシステムについて~なるほど色々と批判されがちな男系継承システムも、不要な混乱を避けるためには理にかなったものであったことがよくわかる」
  • 超映画批評「LOOPER/ルーパー」80点(100点満点中)

    「LOOPER/ルーパー」80点(100点満点中) Looper 2013年1月12日(土)より丸の内ルーブル他全国ロードショー 2012年/アメリカ/カラー/118分/配給:ギャガ、ポニーキャニオン 提供:ポニーキャニオン、ギャガ 監督・脚:ライアン・ジョンソン 出演:ブルース・ウィリス ジョセフ・ゴードン=レヴィット エミリー・ブラント すぐれた大人SF 時間移動ものSFには佳作が多い。「バタフライ・エフェクト」(04)、「時をかける少女」(06)、「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」(07)など、内外に多くの作品がある。過去の改変が未来に影響を与えるタイムパラドックスとは、一見絵空事のように思えるが、実際はいわば現代を生きる者の共通認識を象徴している。誰もが無意識にそう考えて今を頑張って生きているからこそ、映像の形でそれを具現化した時間移動ものSFにすんなり共感できるわけだ

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    castle 2013/01/20
    「この結末はなかなか哲学的で~強硬派と穏健派。目的は同じでも手段が違うが、どちらを私たちは選ぶべきなのか。心情的にはこっちだが、しかし論理的にはこっちのほうが正しい。ああ、なんと悩ましいことよ」
  • 超映画批評「エクスペンダブルズ2」60点(100点満点中)

    「エクスペンダブルズ2」60点(100点満点中) The Expendables 2 2012年10月20日(土)全国ロードショー 2012年/アメリカ/カラー/1時間42分予定/配給:ポニーキャニオン、松竹 監督:サイモン・ウェスト 出演:シルベスター・スタローン ジェイソン・ステイサム ジェット・リー ドルフ・ラングレン チャック・ノリス リアム・ヘムズワース ジャン=クロード・ヴァン・ダム ブルース・ウィリス アーノルド・シュワルツェネッガー オジサン感涙 日では中高年が楽しめる映画が少ないと、かねてから言われている。確かに、海で救助ばかりしている体育会系男子の話とか、テレビ局みたいな警察署の話を彼らに楽しめといっても微妙なところか。 だが、ここに決定版が登場した。「エクスペンダブルズ2」がそれだ。 東欧の山中に墜落した輸送機からデータを回収する楽な仕事──。だがそこには落とし穴が

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    castle 2012/11/24
    「企画したスタローンはえらい。ファンがみたいと思う競演を、自らの人望と人脈で実現させた。ビジネス的なうまみも考えてはいようが、おそらくそれ以上に映画界およびファンへの恩返しの思いが強いのではないか」
  • 超映画批評『裏切りの戦場 葬られた誓い』70点(100点満点中)

    『裏切りの戦場 葬られた誓い』70点(100点満点中) L’ORDRE ET LA MORALE 2012年11月24日(土)よりシネマスクエアとうきゅう他にて全国ロードショー! 2011年/フランス/134分/スコープサイズ/仏語/日語字幕:寺尾次郎 提供:彩プロ/カラーズエンタテインミント 監督・脚・主演:マチュー・カソヴィッツ 脚:ピエール・ガレ/ブノワ・ジョベール 出演:フィリップ・ブファール マリク・ジティ シルヴィ・テステュー 民主主義の恐ろしさを指摘する 総選挙を前に、日の政界では裏切りが渦巻いている。 たとえば大阪の弁護士はあっさりと主要政策を変更し、騙されやすい純朴な保守ネット民の期待を裏切った。それならばと彼らが次に支持したのが東京の老作家だが、これまた中国軍部と地主一味の術中にはまり、尖閣で無用な騒ぎを起こして日企業に大打撃を与えた上、件の弁護士と合流する始

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    castle 2012/11/24
    「民主主義下の政治家が合理的な判断を下すと、大勢の人の命を奪うようなこともままあるよというわけである~ああした非道な事件に発展しなければ、現場で起きたことが明らかになることさえなかったのでないか」
  • 超映画批評「トータル・リコール」60点(100点満点中)

    「トータル・リコール」60点(100点満点中) Total Recall 2012年8月10日(金)丸の内ピカデリー他全国ロードショー 2012年/アメリカ/カラー/118分/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 監督:レン・ワイズマン 脚:マーク・ボンバック、カート・ウィマー、ジェームス・ヴァンダービルト キャスト:コリン・ファレル ケイト・ベッキンセイル イーサン・ホーク ジェシカ・ビール ビル・ナイ 現代的に生まれ変わった この原作と類似点を指摘されている寺沢武一の「コブラ」、映画「TIME/タイム」(11年)、そしてこの「トータル・リコール」と、最近映画化されるSF作品には、ある種の共通項があるように思う。特にこのリメイク版を前作と比較すると、よりそれらの作品と近いテーマに変更されていることがわかる。そこにこの映画を読みとく鍵があるといえるかもしれない。 近未来の地球は

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    castle 2012/08/17
    「地球を金持ち地区と貧乏人地区に物理的に分け~映画が語りたいことをこれ以上なく明確に示している。それは究極の格差社会」「いまどきの労働者は、金を払ってでも幸せな夢を見ていたい。一億総ジャンキー予備軍」
  • 超映画批評『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』25点(100点満点中)

    『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』25点(100点満点中) 2011年5月28日公開 2011年/日/カラー/111分/配給:東映/ ワーナー・ブラザース映画 原作:手塚治虫 監督:森下孝三 脚:吉田玲子 歴史アドバイザー:ひろさちや 声の出演:吉永小百合 堺雅人 観世清和(能楽観世流二十六世家元) 黒谷友香 吉岡秀隆 水樹奈々 ≪大人には物足りず、子供には後味悪い≫ 「手塚治虫の」などと有名人の名前がタイトルについていると、とたんに不安になるわけであるが、作はそんな私の超高精度危険物探知アンテナの実力がみごとに証明されたダメ作であった。 2500年前のインドに、世界を変えると予言される男子が誕生した。緑豊かな釈迦国の王子ゴータマ・シッダールタ(声:吉岡秀隆)は、そうした期待にそぐわぬ心優しい少年へと成長してゆく。だが隣国のコーサラ国は釈迦国を狙い、軍勢を整えている。そんなきな

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    castle 2011/06/05
    「彼(悪のカリスマであるチャプラ)にとっての上昇志向とは、すべてを奪われ失ってゆく喪失の日々の中で、苦しみとともに最後に燃え残った誇りであり、ともし火のはずである。それをちゃんと順を追って演出しない」
  • 超映画批評『プリンセス トヨトミ』70点(100点満点中)

    『プリンセス トヨトミ』70点(100点満点中) 2011年5月28日より公開 全国東宝系 2011年/日/カラー/1時間59分/配給:東宝 原作:万城目学 監督:鈴木雅之 出演:堤真一 綾瀬はるか 岡田将生 沢木ルカ 森永悠希 中井貴一 ≪コメディーながら描くテーマは意外性に富む≫ 豊臣秀吉の子孫がひそかに大阪に生き残っていた──『プリンセス トヨトミ』について私は、そこから始まる歴史フィクションのようなドラマかと当初想像していた。万城目学の原作は未読だったし、タイトルから勝手にそんな予想を立てていた。 だが作は、その予想を大きく裏切る内容だった。 東京の会計検査院から、鬼の松平の異名をとる松平元(堤真一)率いる3人の精鋭調査員が大阪にやってきた。直感型の鳥居忠子(綾瀬はるか)と優等生型の旭ゲンズブール(岡田将生)は、松平の元次々と成果を上げてゆく。次に彼らは財団法人OJO(大阪城趾

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    castle 2011/06/05
    「本作で人々が守るもの、それ自体に実は大した価値はない。プリンセスにせよ地下通路にせよ、それは象徴にすぎない。それを旗印に人々が大切に思ってきたものこそが本当に価値あるものだとこの作品は教えてくれる」
  • 超映画批評『マイ・バック・ページ』55点(100点満点中)

    『マイ・バック・ページ』55点(100点満点中) 2011年5月28日(土)、新宿ピカデリー、丸の内TOEI他全国ロードショー 2011年/日/カラー/??分/配給:アスミック・エース 原作:川三郎 監督:山下敦弘 脚:向井康介 出演:夫木聡 松山ケンイチ 忽那汐里 石橋杏奈 韓英恵 長塚圭史 ≪冷酷になりきれなかった男たちの青春≫ 福島第一原子力発電所の事故は様々な方面に影響を与えているが、私が驚いたのはいわゆる保守業界(のうち原発擁護派)の狼狽ぶりであった。 普段は現実主義的視点で議論できる人々が、そろって感情に振り回され論理性を失っている。左翼憎しで目が曇ったか、異端の域を出ぬ低線量放射線有益論に、すがるように飛びついてしまう。平時に何を信じようと勝手だが、有事に珍奇な説を振り回すのは人の生き死にに関わる。 発言力、影響力の強い文化人や元軍人たちが、福島の子供たちの命で行うハ

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    castle 2011/06/05
    「右翼でも左翼でも、真ん中から外れた人々は、いかに教養高く生き暮らしていても本音では寂しい。つまり仲間や理解者を欲している~信念がガラガラと崩れ去るような危機に陥ると、あっさりとオカルトに「落ち」る」
  • 超映画批評『アリス・クリードの失踪』85点(100点満点中)

    『アリス・クリードの失踪』85点(100点満点中) The Disappearance of Alice Creed 2011年6月11日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷にて全国順次公開 2009年/イギリス/カラー/101分/PG-12 配給:ロングライド 監督・脚:ジェイ・ブレイクソン 出演:ジェマ・アータートン マーティン・コムストン エディ・マーサン ≪とっておきの脚≫ 「ディセント2」(2009)の脚で知られるJ・ブレイクソンは34歳の若き才能だが、ずっと一つのアイデアを温めていた。彼はそれを他の監督に譲らず、絶対に自分の初監督作品として使うのだとこだわり続けた。それがこの『アリス・クリードの失踪』。ガンコな若手脚家の夢は叶い、彼は無事、作で映画監督デビューを果たした。 二人の男が無言でなにかの準備を始めている。人気のない小屋の窓をふさぎ、てきぱきと着替える

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    castle 2011/06/05
    「登場人物はたったの3人。ほとんどの舞台は監禁部屋~やがて上映から30分経過。その瞬間、衝撃の急展開が襲い掛かる」「フェアな伏線、あとからじっくり考えてもまったく矛盾のないロジカルなストーリー」