部屋の隅で、おかっぱ頭の〝少女〟は怯えていた。膝の上でぎゅっと握られたこぶしに、さらに警戒の力が加わった。少なくとも私にはそう見えた。 スーツ姿の男性が少女に近づいた。どこか投げやりな歩き方とニヤけた表情は、純粋に「鑑賞」を目的としていないことだけは明らかだった。スタッフや来場者の一部に緊張が走る。 男性は少女を一瞥し、「ふんっ」と鼻で笑う。続けて軽く舌打ちし、その場を離れた。相変わらずニヤけながら、しかし、そこには間違いなく侮蔑の色も同時に浮かんでいた。 結局、それだけのことだった。ただそれだけのために、男性は長い行列に加わり、抽選に参加したのだろう。 「よかった」。安堵したスタッフの一人がそう漏らした。 またか、と少女は思っただろうか。あるいはこうした場面に慣れてしまったことを、さらに悲しく感じただろうか。 平和の少女像――元従軍慰安婦を題材としたこの作品は、侮蔑され、罵倒され、貶めら
