伊丹万作 戦争責任者の問題

最近、自由映画人連盟の人たちが映画界の戦争責任者を指摘し、その追放を主張しており、主唱者の中には私の名前もまじつているということを聞いた。それがいつどのような形で発表されたのか、くわしいことはまだ聞いていないが、それを見た人たちが私のところに来て、あれはほんとうに君の意見かときくようになつた。 そこでこの機会に、この問題に対する私のほんとうの意見を述べて立場を明らかにしておきたいと思うのであるが、実のところ、私にとつて、近ごろこの問題ほどわかりにくい問題はない。考えれば考えるほどわからなくなる。そこで、わからないというのはどうわからないのか、それを述べて意見のかわりにしたいと思う。 さて、多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。みながみな口を揃えてだまされていたという。私の知つている範囲ではおれがだましたのだといつた人間はまだ一人もいない。ここらあたりから、もうぼつぼつわからなくなつ

[neko-yashiki]

原発に関していうと、私には「政府や東電にだまされていた」という感覚はあまりない。真実を知ることはそんなに困難ではなかったから知ってたし。「だまされた」ではなく「黙らせられてた」なら大いにあったけど。

[jfkintko]

必読。問題があることを知りながら積極的に異議/反対を唱えなかった人は現状維持に加担している。で、不祥事が公になった途端に被害者面。よくあるパターン

[windish]

自分が制御できるのは自分だけ。

[pukarix]

なぜ一昔前の人の書く文章のほうが心に響くのだろう。なぜ多くの現代知識人の文章は稚拙に思えるのだろう。学ぶべきことは現代にあるのではなく、過去にあるのではないか。

[mk16]

>「だまされていた」という一語の持つ便利な効果におぼれて、一切の責任から解放された気でいる多くの人々の安易きわまる態度を見るとき、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感ぜざるを得ない。

[REV]

まあ、日比谷焼打事件が太平洋戦争の遠因ともいうが、やはり、「陸軍海軍に騙されていた」のかな

[black_grass]

興味深い“ 過去の日本が、外国の力なしには封建制度も鎖国制度も独力で打破することができなかつた事実、個人の基本的人権さえも自力でつかみ得なかつた事実とまつたくその本質を等しくするものである。”

[haha64]

NHKスペシャルでも紹介されたのでブクマ。異論はゼロではないけど、戦中を過ごした知識人の良心を示す名文。どんな時代、どんな党派の人々も心に留め置くべき言葉だと思う。

[kmiura]

今の日本を見るとよくわかるが（1）真偽の問題と社会正義の問題を自覚せず混同し専門的見解を流布する亜インテリ（2）その意見を絶対化すべく巡回する田吾作自警団（3）前二者に疲弊する人々、がそれを構成している。

[Labyrinthos]

▼はてなブックマーク - 「騙された」とか歌って喜んでる斉藤和義と信者はこれ読めよマジで→http://b.hatena.ne.jp/entry?mode=more&url=http%3A%2F%2Fanond.hatelabo.jp%2F20110413222428

[pray6202]

あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである

[paravola]

（他人にイラつく伊丹万作）たとえば、最も手近な服装の問題にしても、ゲートルを巻かなければ門から一歩も出られないようなこつけいなことにしてしまつたのは、政府でも官庁でもなく、むしろ国民自身だつたのである

[peketamin]

伊丹十三のお父さん(も映画監督)。公益性を損ねる社会的事案については騙される方もまた悪く、一方的に容赦され無辜ということはない、という話。つまり、無知を改め、悪に抵抗する努力を放棄せず個人としても戦え、

[florentine]

“批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体”

[kuro_pp]

これを「ソフトキリング」で山本太郎が引用していたときはゾッとした。

[yamasamayukisama]

重く響きますね。❝「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである❞

[uss267]

「奴隷状態を存続せしめた責任を軍や警察や官僚にのみ負担させて、彼らの跳梁を許した自分たちの罪を真剣に反省しなかつたならば、日本の国民というものは永久に救われるときはないであろう。」

[Ituki]

あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである

[youichirou]

青空文庫有能。

[kmaebashi]

あの戦争は結局のところ国民に支持されていたわけだし、今の日本だって、当時と断絶しているわけでもないんだよね。

[tsugu_k]

だます人とだまされる人。...

[moccos_info]

"「だまされていた」という一語の持つ便利な効果"

[witchstyle]

「新装版　伊丹万作全集1」筑摩書房 から

[gfyosswy]

“えば、最も手近な服装の問題にしても、ゲートルを巻かなければ門から一歩も出られないようなこつけいなことにしてしまつたのは、政府でも官庁でもなく、むしろ国民自身だつたのである。私のような病人は、ついに一

[shimaguniyamato]

読んだ

[liposo]

戦争時の空気の形成について。

[motowaka]

あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである

[moftpit]

当時の雰囲気の一部だろうなぁ。

[zakinco]

メモ

[MIZ]

“あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体”

[kanimaster]

[hiso[war] 伊丹十三の父。

[kiku72]

“（『映画春秋』創刊号・昭和二十一年八月）”#fmkyoto でこの文章を朗読してたけど文体の現代文ぽさもあってめちゃ今の状況に近いと思った。違いは今の憲法があること

[kamezo]

だますこと、だまされること、加担すること、させられること、黙ること、語ること。その責任／詐欺被害者名簿が次のターゲット名簿として価値をもつことが思い起こされる

[Windymelt]

"「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされる"

[yagitoshiro]

この4/28が1946年なら亡くなった年に書かれたものなのか。まさに絶筆だなあ。子供に読ませたい：