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あなたは「元才女おばさん」をご存知だろうか? 言うまでもなくあなたは「元才女おばさん」のことを知らないだろう。なぜなら僕の造語だからね! 「はじめて聞いたワードですが、なぜか心がザワつきます…」 「ていうか、それ、私のこと…!?」 うん。詳細は知らないが、きっとそうなのだろう。 元才女おばさんは、貴女の身の回りにけっこういる。そして今僕のブログを読んでいる他ならぬ貴女のなかにも…… なぜかとっ散らかるキャリア 去年から今年にかけて、立て続けに「若い時に華々しいキャリアを送り、その後迷走した三十代後半〜四十代の女性」に会う機会があった。 「海外に留学したあとジュエリーデザイナーになって…」 おお。めちゃスゴいですね!それで? 「通訳になって…」 ふむふむ!海外の経験が役に立ちましたね。それで? 「外資系の秘書になりました」 なんと!そのままエグゼクティブ界入りですか!? めちゃすごい! …し
渋谷ヒカリエの発酵ツーリズム展で話題となった、青森県十和田地方のハードコア発酵食品、ごど。展覧会期中にこのごどをつくるワークショップを開催したのですが、終了後も「ワタシもごどをつくってみたい!」という声が相次いでいるので、レシピをブログにまとめておきます。 ごどのつくりかた こんな感じのお母さんたちが受け継いできた、十和田のローカル発酵食。 材料: 納豆:180g(伝統的には手づくり納豆だけど市販のものでも可) 麹:40g 塩:5〜8g(全体量の2〜3%) つくりかた: A:麹を手のひらで擦り合せ、ほぐす B:納豆に麹と塩、大豆の煮汁(なければお湯20〜30ml)を加え、よく混ぜる C:B を容器(タッパーなど)に入れ、冷蔵庫に一週間ほど寝かせる ☆納豆に酸味とコクが出てきたら完成。一週間だと浅漬けごど、二週間ほど経つと酸味が強くなりドロっとした質感の深漬けごどになる。 ☆煮汁の量でテクス
こんにちは。小倉ヒラクです。 新著『日本発酵紀行』のまえがきを先行公開します。面白そう!と思った方はぜひ事前予約をお願いします。 ・新著『日本発酵紀行』の事前予約をお願いします! どうぞたくさんの人にこの「記憶のざわめき」が届きますように。 日本発酵紀行 まえがき 木々が葉を落とし、土や水のなかの生命が息を潜める季節、町外れの蔵からプツ…プツ…と小さな音が聴こえてくる。桶や樽のなかで微生物たちが活動を始めた音だ。川が凍りつくほどの寒さのなか、蔵ではたらく醸造家たちは上着を脱いで狭い室(むろ)に入っていく。 室のドアを開けると、じっとり湿った蒸気と甘い栗のような香りが押し寄せてくる。室の真ん中には底の浅いプールのような長い箱があり、そこには白く靄(もや)がかかったような米が寝かされている。米についている靄は、カビだ。毒を出さず、人間に有用な成分をつくってくれるニホンコウジカビという不思議な微
今年の春先くらいから、よくわからない憂鬱とプレッシャーを感じていた。 去年出した『発酵文化人類学』の評判がびっくりするぐらい独り歩きして、美術館や科学館の企画で分不相応なオファーがあって「さらに前を目指して頑張るぞ!」という情熱がたぎっている! …ような気がしたんだけどさ。 今年の前半戦の大仕事が色々終わって、細々とした仕事を後回しにしてとりあえず数日間山梨の我が家で休むことにしたお盆休み。掃除や料理や庭仕事しながらひたすらゴロゴロする軟体動物と化していたら、ここ二年くらいの疲れがどっとやってきて、その重たい疲れがはがれてくるころに今度は自分がけっこう無理してきたことに気づいてしまった。 なにを「スゴいヤツ」になろうと頑張っているんだ、自分よ。 僕は立ち向かう人ではなく、逃げてきた人だったはず、なんだけど。 ここしばらく、たまたま運が重なって仕事で人から期待されてうっかり自分のことを「やれ
こんにちは、発酵デザイナーの小倉ヒラクです。 普段から僕のブログ読んでいる人、はじめましての人に呼びかけです。 ヒカリエ8階のギャラリーで大きな展覧会やるから、協力してほしい〜!! 来年2019年の春から僕の企画で『47都道府県の発酵(仮)』という展覧会が始まります。 会場は渋谷ヒカリエd47 MUSEUM。全国から知られざるローカル発酵食を集めて体系化し、日本の郷土食の多様性の秘密を解き明かす…!という壮大な企画に挑戦するので、この場を借りてスポンサーを募りたいと思います。 ☆そもそも僕は何者?という人はこちらをご覧ください プロジェクトのあらまし ではまずプロジェクトのあらましから。 そもそもなぜこんな壮大な企画をやるのか? ▶日本各地に根付く不思議な発酵食品 僕は発酵と微生物のスペシャリストとして全国各地の発酵文化を訪ねて歩いているのですが、しばしば「ななな…なんだこれは?」とビック
ここ最近は微生物の世界をより包括的に理解すべく、生物の進化や地球環境の歴史を勉強していました。そこで色々を考えたことをメモ。 ユニーク&しなやかであること 生物の歴史を見ていくと「強くあること」「多数を占めること」を目指すとわりとすぐ滅ぶようです。自分が強すぎると種の多様性が減って、それが環境の激変を招いてしまうから。 ではサバイブするためには何が大事かというとこれはもう「ユニークであること」「しなやかであること」の2つに尽きます。 安定期は「強いもの」の天下ですが変化期には「しなやかなもの」が生き延びやすい。 環境が激変するときはエサの供給が不安定になります。いっぱい食べることで強さを保っていた生物は環境の変化のなかで飢え死にしやすい。代わりに他の誰も食べないものをエサにしていた小さくてすばしっこいヤツが変化に耐えることができます。 「強い多数派は絶滅する」というセオリーの理由は①生態系
ベトナムを旅してきました。用事のない、久しぶりにリラックスした旅らしい旅でした。 そんななかで、とても印象的なことがありました。 中部ののんびりした街、フエを散歩している時に5ドルで泊まれるバックパッカー宿の軒先のカフェでお茶している旅人がいて、「わっ、いいなあ。僕も2〜3ヶ月何くらい仕事も金も心配しないでアテのない旅したい!」と一瞬うらやましくなったんですね。ただそれは過去の僕からの声で、今の僕は「もうやらないかな」と言っている。この「相反する声」から気づいたことがあったんですね。 知識の記憶とは別に「感性の記憶」があります。 自分がむかし感じたこと、その肌触りや香りが今の自分の身体のなかに流れ込んでくるような体験、誰しも感じたことがあるんじゃないでしょうか? かつての自分に、エピソードで思い出すよりも鮮烈に、同時にノスタルジックな感情といっしょに再会する。これを「感性の記憶」と定義した
あなたは「話聞いてもらえるおじさん」をご存知だろうか? 言うまでもなく、あなたは「話聞いてもらえるおじさん」のことは知らないだろう。なぜなら僕の造語だからね! 最近イベントで話したりSNSでつぶやくたびに静かに世間をザワつかせている「話聞いてもらえるおじさん」現象についてちゃんとまとめておかねばなるまい。 話聞いてもらえるおじさんとの邂逅 初出はこちら。 なお「話聞いてもらえるおじさん」とは、業界である程度地位を築いた後に立場だけで無条件に他人に話を聞いてもらえるようになった結果、過去に売れた自著に書いてある鉄板エピソードを人前でひたすらリピートするだけのインスピレーション皆無状態になったおじさんを指します。 — 小倉ヒラク (@o_hiraku) 2017年8月7日 「いいい、いるいる〜!村のはずれの橋のたもとで見たことある〜!」 とハードコアパンクのヘッドバンキングのように頷く人も多い
諏訪のリビセンから本が届いた。 東野唯史・華南子夫妻はじめリビセンチームが手づくりでつくった”ReBuild New Culture”がとっても良い本だったので考えたことをまとめておくぜ。 課題先行ではなく、文化先行 「Rebuild New Culture(新しい文化をつくりなおす)」というタイトルがまず彼ららしいし、僕たちの世代の価値観を端的に現しているいいキャッチコピーだよね。 本来、”Re”と”New”って矛盾してるわけじゃん。だから「新しい文化をつくる」か「あるべき文化をつくりなおす」のどちらかが正しい、のだけどリビセンの活動を見ているとまさに「新しいもの」を「つくりなおす」ことで生み出そうとしている感じがある。 「ピカピカの新品がいい」「全てプロのメーカーが用意した高品質なレディメイドがいい」という価値観自体が新しい世代(特にローカルに住むヤツら)にとって「古くて色あせて見える
性善説と性悪説について。 こないだ東ヨーロッパ行って驚いたのが、バスに乗る時に切符がなくても乗れてしまうシステム。これはつまり「みんな当然切符持ってるよね。だからチェックしなくていいよね」という性善説システムで社会が動いているということです。 でね。実はこのシステムは管理コストを省ける合理性があったりする。 ヨーロッパに住んでいた時いろんなものが性善説で動いていることにビックリしました。なぜかと聞くと「市民はすべからく成熟していること」が前提の制度設計だからだそう。 性善説と性悪説の合理性の違い 性善説の制度設計は「悪いことしてないかチェックするコスト」がかからないので実は合理的だとも言えます。 対して日本は社会の基本原理が性悪説で動いているかもしれません。 例えば�朝の通勤電車の遅延証明。いい年した社会人が「私はウソついてません」と会社に届けるなんてよく考えたらヘンな話です。誰かがズルを
昨日のヒカリエ「これからの暮らしかた」展で話したことを忘れないうちにメモ。僕が話したかったのは「暮らしかたという病」について。現代において「暮らしかた」について語ることは、実際にどういう風に暮らすのかというより「暮らしをカタログ化したい」という欲望の発露なのでは?という問いかけでした。 「暮らしのカタログ化」という欲望はベンヤミンのパサージュ論に端を発し、片岡義男やJJのアメリカンウェイ・オブ・ライフの歪んだ輸入、そこから80〜90年代のライフスタイル雑誌に至る「消費社会における自己表現」という側面を持っています。「暮らし」が自己目的化するから「病」になります。 「これからの暮らしかた」を語るということは「僕たちがいかなる病にかかってもがいているのか」ということの検証です。楽観的な未来予測や社会の展望を語ることではありません。 「暮らしかたが〜とか言っている時点でウチら超こじらせてね?」
こないだ母校早稲田に講演に行ってきた時の話。 文学部の宮崎薫教授のキャリア教育の一環として「就活しなくてもヘンな仕事してても楽しく生きているセンパイを見せたい」という謎のオーダーで年に一回の講演を三年間やっています。 保守的すぎる感想にビックリ! 毎回200名くらいの学生たちに発酵デザイナーの仕事を紹介するのですが学生の反応にビックリ。講演終了後に学生にアンケートを取ると、 「大学卒業したら安定した大企業に就職して、20代で結婚して子ども産んで主婦になる人生が当たり前だと思っていましたが、ヒラクさんのような生き方を見てビックリしました」 みたいな子が毎年2〜3割います。ていうか年々割合が増えている印象。どこの昭和だよ!? あるいは、 「ヒラクさんのような生き方は才能がある人だからできることであって、私もやりたい事があるのですが自分は才能がないのであきらめます」 ろいうコメントも散見されます
読みたい人がいるからつくって、読みたい人にまっすぐ届く。 本づくりをシンプルな関係性に戻すには、知恵と工夫が必要です。発売一週間で重版出来というミラクルを起こした新著『発酵文化人類学』の本づくりと売りかたの背景は、僕なりの「愉快&シンプル大作戦」があったのでした。 ということで、発売一ヶ月経って「作戦大成功!」と言ってよさそうな状態になったので、その舞台裏を公開します。長いけど興味ある人はご一読あれ。 本づくりのコンセプトと課題整理 昔からお世話になっているD&Departmentにて。今までの縁がつながって本ができました マーケティングで売るのではなく、コミュニティに届ける。 これが今回僕が本をつくるにあたってのおおもとの考えかたです。 「えっ、いったい何のこと?」と思うかもしれないのですが、これから説明する具体的な方法論を支えるコンセプトになるので、まず最初に「キーワードはコミュニティ
『おじさん界』創設に寄与した名誉おじさん、徳谷柿次郎氏。 2017年は『おじさんの年』になるかもしれない…! このブログではおなじみのジモコロ編集長の柿次郎さんが、2016年末に開催した「忘年会おじさん」というイベントに参加した時に「これからおじさんが来る!」という確信がありました(いや、別に来なくても全然いいんだけど)。 おじさんが集まるとひたすら楽しい 様々な分野で活躍する60人のおじさんが一同に介した「忘年会おじさん」。 ゼロ次会は銭湯からスタート。初対面の全裸おじさん同士が 「はじめまして。僕、発酵おじさんです。そちらは?」 「あ、どうも。僕スマートニュースおじさんです」 「乾物おじさんです」 「PRおじさんです」 と名乗り合うという謎のテンション。そのまま5時から飲みはじめたら、一瞬で終電になっていました。見渡すかぎりのおじさんの海原。楽しすぎ。 柿次郎おじさんに 「ワタシ『名誉
時は満ちた。発酵をめぐる冒険にいざ出発! 2014年、雑誌ソトコトの特集『発酵をめぐる冒険』をきっかけに始まった連載『発酵文化人類学』がこの春めでたく書籍化することになりました。やったぜー! あまりにも嬉しいので、出版にあわせて勝手にお祭りを始めることにしました。 2月から書籍発売まで、ソトコト編集チームとコラボでこのWEB上で皆さまにお祭りの参加を呼びかけます。どうぞよろしく! そもそもどんな本になるの? 2014年末のソトコトの発酵特集。発酵デザイナーの存在が世に出るきっかけに。 ▶発酵×文化人類学=発酵カルチャー本! 『発酵文化人類学』は、単なる発酵食の解説書にあらず! 古今東西の発酵文化と、微生物の不思議な世界を紐解きながら、人類の文化のルーツと現代における新しいカルチャーの橋架けをする発酵カルチャー本です。 2016年初のSpectatorの『発酵のひみつ』。特集の案内役を務めま
料理好きの調味料棚にはかならず常備されるようになった塩麹(しおこうじ)。 和食のメイン調味料として、洋食の隠し味として重宝している人も多いと思います。 もちろん僕もオールウェイズ使いまくり。 あまりにも便利すぎてうっかり他の調味料いらないんじゃないか?と思うほどの万能っぷりを発揮するこの塩麹について、改めてブログをまとめておくぜ。 塩と麹と水を混ぜたペースト=塩麹 そもそも塩麹とは何か?ざっくり言えば、 ・麹と塩を水で溶いてペースト状にしたもの が塩麹の基本的な定義。作り方もめちゃ簡単で、 ・塩1:麹2:水4の割合で混ぜて、5日〜10日室温で発酵させる これだけ。 具体的に言えば、塩100g、麹200g、水400gの割合で混ぜて、今は冬なのでなるべく暖かい部屋で10日間発酵させる(1〜2日にいっぺんくらいスプーンで撹拌すると香りが良くなる)。 麹と水がよくなじんでべっこう色のペーストになり
「愛の皮をかぶったビジネス」と「ビジネスの靴下を履いた愛」。『逃げ恥』と『タラレバ娘』は人生というコインの裏表だ。 本質はつねに隠されている。 隠されているという事実そのものが、本質を「欲望が掻きたてられるもの」にする。 「本質を見る」ことは、本質そのものを見ることではなく「本質のうえにかけられている布を通して、本質のカタチを類推する」ということだ(←こう書いているだけでなんかやらしい)。 僕はなんの何の話をしているのだろうか。 『逃げ恥』と『タラレバ娘の』の話をしているのであるよ。 『逃げ恥』と『タラレバ娘』はコインの裏表だ 『逃げるは恥だが役に立つ』と『東京タラレバ娘』は、ちょうど同じ頃に原作の漫画を読み始めた。最初はそれぞれを別個のものとして読み込んでいたのだが、最近『逃げ恥』のドラマを見ているうちに、実はこの2つの少女漫画は「コインの裏表である」ということに気づいた。 結論から言お
僕、日本酒を温めて飲むのが好きなんです。 一般的に「良い日本酒」って、キリッと冷やして飲むイメージあるじゃないですか。 もちろんそれも悪くないんだけど、僕は声を大にして言いたい。 幸せになりたかったら、燗酒を飲むべし! 以下、その理由を説明しようではないか。 燗酒はロングタイム飲み向き 実は「冷やして飲む日本酒」という文化は、冷蔵庫が普及した割と最近の時代のもの。 その前は、常温あるいは湯煎で温めて飲んでいた(←これを燗酒と言う)。 冬は、囲炉裏でこさえた燗酒でカラダを温めるのが季節の風物詩だったそうな。 でね。 燗酒は生理的に見てもグルメ的に見ても非常に優れた日本酒の楽しみかたなのだね。 まず「生理的なメリット」から説明しよう。 お酒のアルコールは体温に近い温度の時に吸収されやすい。ということは、冷酒を飲んだ場合、しばらく胃腸でアルコールを温める「リードタイム」が発生する。このリードタイ
ふと思い立って、最近逝去してしまった雨宮まみさんの「女子をこじらせて」を再読。 僕のブログや連載でもよく出てくる「こじらせ女子」という言葉の生みの親の作家で、先日40歳という若さでこの世を去ってしまった。 「女子をこじらせて」を再読して改めて「あ、こりゃあ生きていくの大変そうだな」と思ってしまった。死因はわからないけれど、こういう世界の見え方をしている人が長生きするのは難しそうだ。 雨宮さんの姿は「とても痛々しい」。 キャラ的にイタい奴だ、という意味ではなく、交通事故ででっかいガラス片がアタマに突き刺さっている人を見て「おお、こいつは大変だ」という意味で痛々しい。 その痛々しさが何に起因するかというと、「人生の要素がほぼ100%で自意識とセクシュアリティで構成されている」という極端なバランスだ。 (もしかしたら本を書く時につくられたデフォルメ人格かもしれないが) 思春期をはるかに過ぎてもな
「秋の移動しまくりキャンペーン」がようやく終わった。 2ヶ月で、九州は福岡、佐賀、長崎、熊本。関西は神戸、大阪、京都、岐阜。その他にも香川や千葉のいすみ、横浜や東京などとにかくあちこちに移動しすぎで腰が痛いぜ。 年内はあと一回、福岡にトークイベントに行く以外に遠出の予定はないらしい。やったー! さて。 あちこちと移動していると、各地の「豪族たち」の動向がストリートニュースとして耳に入ってくる。今から予言しておくと、来年から本格的に「ソーシャルビジネス界隈における人材移動」が大規模に始まるであろうよ。 大トピックスは2つ。 ・既存有力企業からのまさかの人材流出 ・組織による有力フリーランスの引き抜き に世間はあっと驚くことになる。 「デキる人材」と「おもしろ人材」のゆくえ 具体的にどういうことなのであろうか。 このブログでも何度も紹介してきた、日本各地の「新しいワークスタイル&課題解決型の事
最近民ちゃんが『ほぼ日の塾』に行っているらしい。 編集者として数年仕事してきたタイミングで「もっと学びたい」と思っているそうな。 なるほど。そいつはいいね。 巷にいるフリーの編集者やデザイナーを見回してみると、7〜8割は「アベレージラインを天井としてそのまま横ばい」というキャリアを送ることになる。 世間に恥ずかしくないクオリティを納品し、クライアントとちゃんと意思疎通できて、待ち合わせや〆切に遅れない(←当たり前だけど)。 数年間、一生懸命仕事をするとこのアベレージラインにたどり着く。そして最低限独立して喰っていけるだけのギャラをゲットすることができる。これはたいへん努力がいることであり、リスペクトすべきことだ。 アベレージで立ち止まってていいのか問題。 で。 「そこから先」がたいへん難しいのであるよ。 「アベレージで横ばい」はだんだん自分のスキルや表現の価値が陳腐化していくということだ。
微生物やらデザインやら文化人類学やら、めんどくさいトピックスが多いヒラクのブログですが、昔から「読みやすいです!」という感想が多く、最近は「ウチの子どもにも読ませたいです」という人までいる(さすがに読めるのは中学生くらいからだと思うけど)。 嬉しい話だけど、まあ意外でもある。 わかりにくく書いているつもりはないけど、誰でも読めるように書いているつもりもないからね。難しい語彙も使うし、立て込んだロジックも多い。端的にいえばちゃんと本を読んできて、かつ人生経験もある程度積んだオトナに納得してもらえるように書いているつもりだ。 ただ、2つ心がけていることがある。 1つは「話しているように書く」こと(これは以前ブログに書いた)。 ・「わかりやすい」は「読みやすい」ではない。しゃべると書くの関係性 もう1つは「日本語が母語じゃない人がストレスなく読めるような構造で書く」ということだ。実は僕のブログは
不条理に思えることでも、ある種の必然があったりする。 クラシコムの青木さんから「これ読むといいよ」と渡されたドラッカーの本に、僕のここ最近の疑問の解答があった(ちなみに『経済人の終わり』→『産業人の未来』→『ポスト資本主義社会』の順で読んだ)。 前に社会は軍事社会独裁制に向かうと(なんとなく直感で)書いた。経済学者になる前の「哲学者としてのドラッカー」が1940年前後に見ていた世界観にヒントがたくさんある。 社会的人間の意味とファシズムの到来 1940年前後の欧米社会といえば、ファシズムの台頭だ。 ドラッカーは「なぜファシズムが隆盛するのか」ということを、他の哲学者とは全く違う視点から分析した。リアルタイムで書かれたにも関わらず、そこには現代でも色褪せない洞察力がある。 まずドラッカーは、ファシズムを「狂人によるアクシデント」とは見ない。むしろ「時代の要請」として見る。つまり「なるほど。よ
最近、twitterのタイムライン上や友だちとの世間話で「人間らしさ」のトピックスが出るようになった。 ですよね。逆に言うと、そんな風に全く異なるふたつのものを、何の脈絡もなく愛でることができるのは人間だけであって、10年後や20年後には、それが人間だけが唯一できる営みとなっているかもしれませんよね。笑 https://t.co/ddgWj6wNuN — 鳥井 弘文 (@hirofumi21) 2016年5月17日 こないだ会った東大の教授が「好きな事を続ける事だけがAIに勝てる唯一の道」って言ってましたよ。 https://t.co/hrKjat2YZ2 — Yuji Nakazato (@wato) 2016年5月17日 こういう話題が出るのは、もちろん人工知能やアルゴリズムの超発達が原因なわけだ。 二年くらい前に「アルゴリズムの発達によって資本主義が自壊する」というトンデモなエントリ
最近、ワラで納豆をつくってみたんだけどさ。 納豆って、改めて面白いもんですなあ。 今は工場で大量生産している納豆ですが、昔はワラを折ってつくった藁苞に包んで作っていました。見た目も風流ですが、この方法にはちゃんと科学的な理屈があるんですね。 ワラで納豆ができる理由 まず、ワラの繊維を拡大して見ると、なかにたくさんの空洞がある。ここに納豆菌がいっぱい住んでいるんだね。トルコのカッパドキアにある洞窟をくりぬいた住居みたいなもんです(←と言ってもわかる人にしかわからないか)。 で、納屋からワラを持ってきたら蒸煮します。 発酵や微生物に詳しい人だったら「えっ、そんなことしたら菌が熱死するじゃん!」と思うでしょ。ところがね、納豆菌は100℃の沸騰したお湯のなかでも死なないのさ(厳密に言うと、ワラに潜んでいる休眠状態の場合は。栄養をゲットして眠りから覚めると70℃くらいで死ぬ)。 なので、ワラを蒸煮す
イベント終了後の集合写真。イケメンの蔵人も何人か写ってます。 秋田の銘酒、新政の杜氏古関さんとのトークイベントで感じたこと後編。新政の蔵人たちのチームワークについて話そうかなと。 前半はこちらからどうぞ。 ・設計図を超える美を目指せ!新政に見る攻めの酒づくりの秘密<前編> 若手にハードコアなチャレンジをさせる理由 イベントが始まる前に酒蔵を見学させてもらったのだけど、印象的だったのが現場で働いている蔵人(酒づくりのスタッフ)。みんな若くてイケメンで高学歴という、都内のIT会社で働いてそうなナイスガイたち(元ジュノンボーイもいた)。そしてそんなイケメン達をいじり倒す杜氏の古関さん笑。 ふつう酒蔵に見学に行くと蔵人はひたすらに寡黙に働いてて、あんまり挨拶とか会話をしないのだけど、新政では現場でのコミュニケーションがかなり濃い。 これはボスの古関さんの意向らしい。 酒づくりは昔気質というか、トッ
イノベーションの本質は、創造ではなく破壊にある。 で、エネルギーは、何かを破壊するときに発生する。このエネルギーを次の創造に活用する、というのがイノベーションに期待される意義だけれど、破壊の次に起きる創造が無条件に良いものであるかはまた別の話だ。 「のっけから何でまた禅問答のような話を?」 そうね。例えばみりんの話をしてみようじゃないか。 「◯◯っぽいもの」の氾濫 みりんは、お米と水だけで作られる。発酵の力によって、糖分を添加せずにメロンなどを凌駕する甘味をつくり出す驚くべき調味料。イメージしやすいように例えると「水のかわりに酒で仕込んだ超甘い甘酒」だと思ってもらえればいいかしら。 しかし、僕たちがふだんスーパーで見かけるみりんは、オリジナルのみりんからかけ離れたもの。元々の原料よりもたくさんの糖類やアルコールを添加してつくられる。安価で売っている「みりん風調味料」になると、もはや「みりん
「知識」とはいったい何のためにあるのか? デザインや微生物学という、僕が今関わっているテクノロジーはとても「現実編成力」が強い。自分の内的な思弁にとどまらず、実際に現実を変えてしまう力がある。 こういうものに深入りしていると、ふと、これを使えば「何でもできる」「何でも変えられる」という万能感を感じることがある。 この「万能感を感じている自分」が発するメッセージは威勢が良くて受けがいい。その受けの良さがまた万能感を助長する。 「◯◯をしていないヤツは、もう時代遅れだと思う」 「◯◯の波が、もうすでに世界を変えつつある」 「全てはつながっている。そのカギは◯◯にある」 なんてメッセージを日々メディア上で見ると「えっマジで?ヤバい俺どうしよう」とソワソワしたりするじゃん。 しかしだ。 実際にこの万能感はまやかしで、専門知を極めた人ほど「自分ができることは限りなく限定的である」ということを実感して
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