『モデラート・カンタービレ』 著者マルグリット・デュラスのような情熱的な恋をしたことのない私には、この物語は難解すぎた。 情熱という語からはスポーティかつボーイッシュな色彩を感じるが、海を隔てたあちらのお国では、パッシオンという語には殉教・受難のニュアンスが含まれる。命を賭けて異性を愛する。そんな恋を私は知らない。愛しているから死にたい、死によって愛を証明したい。心中を愛の表現とする危なっかしい恋を私は知らない。自動車の人身事故のように身を砕く定めの苛烈な情念。体験した試しがない。だから、この作品を分かったということは到底できない。 モデラート・カンタービレ (河出文庫)posted with amazlet at 10.10.23マルグリット・デュラス 河出書房新社 売り上げランキング: 125617 おすすめ度の平均: 恋人と読みたい小説 大人の愛を陰翳濃く、じっくり 激書 未読なら買