人工知能(artificial intelligence)という言葉は、二重の問題を投げかけている。知能を人工的に再構築することができるのか、という問いと、そもそも知能とは一体何なのか、という問いである。人間の知能の全容がまだ解明されていないのにもかかわらず、その機械的な再構築を試みようとする過程を通して、逆に人間の知能とは何かということが浮き彫りになってきている。 本書は、MIT PressのEssential Knowledgeシリーズの一冊として書かれた。このシリーズは、表面的な説明や意見が溢れる時代において、非専門家にとっても本質的で批評的な視座を与えることを目指している。本書は、現代社会が到達した、もしくは近い将来到達するであろうテクノロジーの水準の内実に光を当てながら、機械的な知能の条件から人間の知能の本質を逆照射するような一連の思考実験を提供する。そうして著者のシャナハンは、
2016/02/04 大江健三郎「みずからわが涙をぬぐいたまう日」(講談社文庫)-1 続いて中編ふたつ。 みずからわが涙をぬぐいたまう日 1971.10 ・・・ 「かれ」は病棟に入院中。セロファン紙を貼った水中眼鏡を離さず、雇いれた「遺言代執行人(あるいは看護師)」に敗戦前後の日々を語る。なんとなれば、「かれ」が「あの人」と呼ぶ、すなわち「父」と同じ年になり、自らが末期の膵臓がんにあると思い込んでいるからである。このような現在の状況において、物語は「かれ」のかたる敗戦前後の村の様子となる。満州にでていた「あの人」は1943年1月1日の突如村に帰還。養蚕の倉庫に理髪店用のいすを持ち込み、西洋製のラジオの故障を直し、ヘッドフォンをつけて毎日ラジオを聞いていた。村人からはスパイと揶揄され、村長あたりの大人からは誤解されるからよせと言われながら、ほとんどしゃべらずぶくぶくと巨体に膨れ上がる。8月1
nextsociety.blog102.fc2.com こちらに寄稿したGレコ感想が割と好評だったのだが、通販とかもあまりやってないらしいし冬コミも終わったので減価償却したと判断し、ブログで公開してもいいかとサークル編集長の失われた何かの おはぎ氏に問い合わせたところ、許可をいただいたので公開してネットで広く知らしめたい。 以下本文 「脱ガンダムと王子革命 Gのレコンギスタは子ども向けアニメである」 ■不完全な王子 ベルリ・ゼナム この物語の主人公ベルリ・ゼナムは亡国の王子である。しかし、『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルや他の富野作品の王子様たちに比べると、ベルリは何も王子らしいことをしていない。産みの親の家の再興を図るであろう姉の元から去り、育ての親が運行するキャピタル・タワーを守るキャピタル・ガードに戻ることも無かった。作中最強のモビルスーツを操り、最高の技量を持つパイロットで
「細川ガラシャ」は、名前を玉といい、永禄6年(1563)明智光秀の娘として生まれました。天正6年(1578)旧暦8月(新暦9月)、16歳の時、織田信長のすすめで、当時乙訓一帯を支配していた戦国大名で勝龍寺城主細川藤孝の長子忠興のもとに輿入れしてきました。そして、一時期(2年間)ではありましたが、勝龍寺城で幸福な新婚時代を過ごしました。天正10年(1582)、父明智光秀がむほんを起こし、全国を平定しようとしていた織田信長を倒すという、日本の歴史上の大事件「本能寺の変」が起こりました。信長を倒し天下人となった光秀は、以前からの盟友である藤孝・忠興父子に加勢を求めます。しかし、先見の明のある藤孝・忠興父子は主人織田信長を倒した光秀のさそいをきっぱりとことわります。その後明智光秀は羽柴秀吉との山崎の合戦で敗れ、一時、勝龍寺城に逃げ込みますが、結局近江坂本城に帰る途中戦死し、その一族も坂本城とともに
大河としての歴史? 普通歴史といえば、過去から現代へと一本の川のように流れていくものだとイメージされるだろう。そして歴史の一分野である美術史もまた、古代から中世、近代から現代へと移り変わってきたものだと考えられている。もし美術史の知識がある方なら、ロマネスクからゴシックへ、ルネサンスからバロックへという「様式」の歩みを思い浮かべられることだろう。邦訳されて日本でも多くの読者を得ているH.W.ジャンソンやE.H.ゴンブリッチの西洋美術史が、まるで大河小説のような悠々たる流れを感じさせるのもむべなるかなである。この「大きな物語」としての美術史が、美術を愛好するわれわれにとって大きな歓びのもとであることは間違いない。 さてここに、そのような美術史のイメージに異議を唱え続けた美術史家がいる。第2次大戦のさなかに没したフランスの美術史家、アンリ・フォシヨンである。彼は1881年にフランス東部の古都デ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く