戦前のわが国には、図書館について学問的に学ぶ機会も場所も存在しなかった。 極端に言えば、当時の図書館とは単に書物庫であり、 図書館員はその番人であると考えられていた。そこに学問が介在する余地はなかった。 そんな日本に図書館学という新しい学問分野をもたらしたのは、米国であった。 そしてその拠点となったのが、慶應義塾に開設された「図書館学科」である。 第二次世界大戦終結後、日本に駐留した米軍は、情報教育センター(CIE)を通じて、民主主義国家として再出発したわが国の学術振興計画を推進。その一環として進められたのが米国図書館協会と国防総省の共同事業で、日本の大学に図書館学科を設立し、援助するプロジェクトであった。それまで日本には、ライブラリアン(図書館員)を専門的に養成する教育機関はもちろん、利用者へのサービスや教育的役割の研究を含む図書館学という学問分野が存在していなかった。まったく新しい学問
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