大相撲の野球賭博事件の捜査で、警視庁が力士らから押収した携帯電話の分析により発覚した八百長疑惑。力士らは事前に“疑惑”のメールを削除していたが、データ復元技術が八百長の物証を突きつけた形となった。消されたメールを完全な文章として再現するには、記号化されているデータの分析が必要。数カ月の時間を要するケースもあるが、専門家は「高い確率で復元は可能だ」と話す。 パソコンや携帯電話のデータ復元を手がけるAOSテクノロジーズ(東京都港区)によると、メールのデータは削除の操作をしても、完全に消えるわけではない。担当者は「携帯電話内のメモリーにデータは残る。容量がいっぱいになった時点で古いデータが削除され、新しいデータが上書きされる」と解説する。 そのためメモリーを解析する技術があれば、データの復元は可能。ただ、携帯電話が水没したり壊れたりして、メモリー自体に問題が生じた場合は復元が困難になるという。