街のどこにも本屋さんがない。そんな市町村が増えている。首都圏でも、筑波研究学園都市に隣接する茨城県つくばみらい市が、全国に四つある「書店ゼロの市」の一つに。一方、北海道留萌(るもい)市では官民一体となって書店を誘致し、ゼロから抜け出すなど、新しい動きも出始めている。 (中村陽子、写真も) 「本をどこで買いますか?」。つくばみらい市内のつくばエクスプレス(TX)「みらい平」駅前。立ち話をしていた三十代の主婦二人に質問すると「ないんですよ、本屋さんが」と、顔を見合わせてうなずいた。「引っ越してきてびっくりしました。大の読書家の夫は、車で隣の守谷市まで買いに行ってます」 二〇〇六年に伊奈町と谷和原村が合併したつくばみらい市。みらい平駅から都心の秋葉原駅まで、〇五年に開通したTXで最速四十分というアクセスの良さもあり、六年間で人口が一割以上増えて四万六千人余になった。ところが近隣の市に大型書店がで
東証一部上場の売り上げ上位百社(二〇一一年決算期)の七割が、厚生労働省の通達で過労死との因果関係が強いとされる月八十時間(いわゆる過労死ライン)以上の残業を社員に認めていることが分かった。厚労省の指導が形骸化し、過労死しかねない働き方に歯止めがかかっていない現状が浮かんだ。 本紙は今年三~六月、百社の本社所在地の労働局に各社の「時間外労働・休日労働に関する協定(三六協定)届」を情報公開するよう求めた。さらに各社の労務管理についてアンケートし、三十六社から回答を得た。 開示資料によると、労使で残業の上限と決めた時間が最も長いのは、大日本印刷の月二百時間。関西電力の月百九十三時間、日本たばこ産業(JT)の月百八十時間、三菱自動車の月百六十時間と続いた。百社のうち七十社が八十時間以上で、そのほぼ半数の三十七社が百時間を超えていた。百社の平均は約九十二時間だった。 国は労働基準法に基づき、労使間
力量のある先生をどう育てるか。中央教育審議会の特別部会は修士レベルの学びが必須だと結んだ。だが、それで学校現場の抱える課題をクリアできるのか疑わしい。頭でっかちの先生は要らない。 特別部会の話し合いは結論ありきだった印象が強い。小中高などの先生になるには大学院修士課程の修了を条件とするという民主党の公約が出発点だったからだ。
大津市の中二男子生徒が飛び降り自殺した事件で、いじめたとされる同級生の母親と間違われた大津市の女性(65)が、インターネットで中傷され、脅迫状も受けたことが分かった。女性は本紙の取材に応じ、「相手の顔は見えず声も聞こえないだけに、よけいに恐怖を感じる」と語った。 ネットの書き込みを知ったのは今月八日。「大変なことになっている」との親族の電話でパソコンを開くと、自分のフルネームと会長を務める女性団体の名称がネットの掲示板にあふれていた。「人殺し」「クズ人間」などの言葉も並ぶ。「足腰が震えて立っていられなかった」 女性に中学生の子どもはいないし、事件の中学校とは別学区に住む。いじめたとされる同級生と同姓というだけ。翌朝には、この女性団体を担当する市役所の部署にも抗議電話が殺到。市役所や自宅などに「人殺しの母親」「顔に濃硫酸をぶっかける」と手紙やはがきが届いた。 警察へ行き「ネットから誤った情報
まるで、呪文のように原発推進派から吐き出される言葉がある。「放射能の直接的な影響で死んだ人は一人もいない」。福島第一原発の事故で放出された大量の放射能の影響が将来どんな形で出るのか、専門家の間でも意見が分かれているが、そんなことは関係ないらしい▼逆に想像してみたい。事故がなかったら、どれだけの人が死ななくて済んだか。国会事故調査委員会によると、事故直後の約三週間、避難区域になった二十キロ圏内の病院と介護老人保健施設で、少なくとも六十人が避難後に死亡したという▼農業や酪農の先行きを悲観した人、職を失った人、避難生活のストレスでうつ病になった人…。多くの人が自ら命を絶った。その姿は想像できないようだ▼将来の原発比率はどうあるべきか。政府主催の意見聴取会(名古屋市)でもこの呪文が飛び出した。個人の意見として「放射能で死んだ人はいない」と言い切ったのは、20~25%案を支持した中部電力の課長だ▼仙
原子力委員会の小委員会が二十七日に示した核燃料サイクルのコスト再試算の結果は、原発に依存し、使用済み核燃料は再処理して再利用する現行の施策は割高だと、あらためて印象づけた。 前回の試算では、核燃料を地中に埋めて処分する直接処分のシナリオだけに、再処理事業中止に伴う費用が加算されている点などが委員会で問題視。そのため、事業中止費用の一部は除外した上で、三百年にわたる放射性廃棄物の管理も考慮した費用を算出した。 シナリオは(1)全ての使用済み核燃料を再処理(2)全てを直接処分(3)両者の併用-の三つ。これに総発電量に占める原発の比率を、脱原発を意味する0%、現状よりやや原発依存度が低い20%、現状以上に依存度が高い35%の三つの場合を組み合わせた。
誰にもみとられずに亡くなり、時間がたって発見される「孤立死」。明確な定義はなく、全国的な統計も存在しないため、実態は分からないのが現状だ。 死後、時間が経過してから見つかった遺体は、警察が死因調査や身元確認のために死体見分をする。昨年一年間に全国の警察が行った死体見分は十五万体以上に及ぶが、警察庁の幹部は「このうち、いわゆる孤立死に当たる遺体がどのくらいあるのかは、把握できていない」と話す。
米から国の基準を上回る放射性物質が検出された福島県伊達市で、土壌汚染や被ばくへの懸念から耕作できなかった農家に対し、市農業委員会が田畑を耕作放棄地と扱う通知を出した。「農地として適切に利用されていない」として耕すよう指導。一月中旬に通知を受けた同市の小野寛さん(51)は「耕すと放射性物質が土に混ざる」と困惑している。 (中崎裕) 各自治体の農業委員会は農地法に基づき、年に一度、耕作放棄地を調査。最初の指導通知が届いた時点で耕作放棄地扱いとなり、所有者は原則的に新たな農地取得ができなくなる。同市農業委は今回、二百件ほどの指導通知を出した。
太平洋戦争の分岐点になったガダルカナル島の攻防戦では、約三万人の日本の将兵のうち二万人が犠牲になった。七割が餓死や病死である。一九四三年二月、大本営は敗北した事実を隠して、所期の目的を達して転進した、と発表した▼これ以降、日本軍が太平洋の拠点から撤退した時に、新聞では「転進」が使われるようになる。部隊が全滅した時は「玉砕」に。軍部と新聞は言葉を言い換え、国民の目をそらした▼同じようなことが今、政府や東京電力の記者会見で起きている。事故やトラブルの危険性を小さく見せるために「事象」という言葉を連発。記者が原発の「老朽化」に言及すると「高経年化」と言い直すと、本紙記事が報じていた▼原子力建屋の中にたまった高濃度の放射能汚染水は「滞留水」。これでは危険性は伝わるわけがない。極め付きは、正常な原子炉を定期検査で止める時などに使う「冷温停止」に「状態」を付けた「冷温停止状態」だろう▼事故が収束に向か
米国のお菓子に異変が起きている。大きいほど米国らしいとされたカップケーキ、ドーナツ、パイなど、この国を代表する焼き菓子のサイズがどんどん縮小しているのだ。この新傾向の背景には、健康志向と景気停滞の時流があるという。 (ニューヨーク・長田弘己、写真も) ファッションブランドが軒を連ねるマンハッタンのイースト・ビレッジ地区。そこを南北に走り抜ける大通りブロードウェーの道端に、直径約二センチほどのミニカップケーキを売る屋台がある。その名も「リトル・カップケーキ・ラバー(小さなカップケーキを愛する人)」だ。
【ロンドン=小杉敏之】内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ容疑者(40)=性犯罪容疑で逮捕、保釈中=は二十四日、声明を出し、資金作りに専念するため、情報公開活動を一時停止することを明らかにした。AP通信が伝えた。 ウィキリークスはクレジットカードでの寄付などを活動財源にしているが、米クレジットカード大手ビザなどは、ウィキリークスが米外交公電約二十五万件の公開を開始した直後の昨年十二月から、取引を停止している。アサンジ容疑者は声明で「妨害を取り除くことができなければ、サイトの存続が年末までに不可能となる」と説明。クレジット会社などを名指しで非難し「生き残り」のために戦う方針を示した。
区が定めた基準を上回る放射線量が測定されたとして、東京都足立区は七日、区立小中学校七校の砂場の使用中止を決めた。該当した学校では今後、砂場の砂を交換する。
神奈川県は11日、同県南足柄市で9日に採取した「足柄茶」の生葉から、暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたと発表した。同県産の農産物が暫定基準値を超えたのは初めて。 県は南足柄市などに対し、今年産の茶の出荷自粛と自主回収を呼び掛けた。県によると、足柄茶の生葉は県内17市町村で生産しており、他市町村の生葉の検査も早急に進める。 県によると、南足柄市の生茶から1キログラム当たり550〜570ベクレル(基準値同500ベクレル)の放射性セシウムを検出。放射性ヨウ素は検出されなかった。今年収穫された足柄茶は、6日に出荷が始まったばかりだった。
東日本大震災で十五メートルの大津波に襲われた福島第一原発の立地場所が、四十年以上前は海抜三五メートルの台地だったことが、建設当時に東京電力が国に提出した資料などで分かった。東電は、地盤強度や原子炉を冷やす海水の取り入れやすさを考慮した結果、地表から二十五メートルも土を削って原発を建設。計画に携わった元東電幹部は「違う建て方もあった」と、津波対策を軽視してきたことを認めた。 原発建設地約二百万平方メートルは、東電が一九六四年までに取得。旧日本軍飛行場があった場所で、海岸線に険しいがけが続く台地だった。地質的にみると、台地の地表から海水面までの三分の二部分には地盤が弱い粘土や砂岩層が広がっていた。 計画メンバーの一人、豊田正敏・元東電副社長(87)によると、当時、さまざまな建設方法を検討。その結果、巨大な原子炉を建て、地震に対応するには、地表から二十五メートル下にある比較的しっかりした泥岩層ま
内部告発サイト「ウィキリークス」が流した米国の機密情報が世界に衝撃を与えています。新聞をはじめ既成メディアはどう受け止めるべきなのか。 ウィキリークスが入手した米政府公電など機密文書は全部で二十五万件以上とされ、公開された分はほんの一部です。すべて公開されたら、どんな新情報が明るみに出るのか、想像もできません。まさに空前の情報流出です。
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