かつて赤字に悩まされた国鉄。しかし、国鉄が悩まされたのは、それだけではなかった。「赤色」と並んでもうひとつ国鉄を悩ます問題を象徴したのが「黄色」であった。1968(昭和43)年8月21日付の『読売新聞』時事川柳欄に、こんな投稿が採用されている。 「国鉄は赤と黄色に悩まされ」 「黄色」とは、列車のトイレがもたらす「黄害」のことであった。 1968年というと、既に高度成長期を迎えて、日本人に文化的生活が浸透していた時代である。しかし、新幹線も開通していたこの時代にも、まだ在来線の列車のトイレはほとんど「垂れ流し」だった。ローカル線だけの話ではない。東海道本線、中央線、常磐線など幹線でも当たり前に、トイレが垂れ流しになっているタイプの車両が走っていたのだ。