まだ成人してないころの両親と会ってみたいか,という問いへの答えは,自分が何歳のときに訊かれるかで変わるのでしょう. そもそも中高生のころは考えもしなかった問いだわ.お父さんはお父さんで,お母さんはお母さんだったから.でもいつか古い荷物のなかに昔の本を見つけて,こんなブンガクみたいなの読んでたんだと思うなどした.それはいまの両親でない別人が読みそうな本に思えてね. 自分がちょうど親ほどの歳になったいま,若いころの親に会いたいとは思わない.当時のことを今の目線で知ろうとするのはよくない気がしてさ.友達のことだったら昔のことをたくさん知りたい.だけど親は友達とは違うって思うのよ,まだ,きっと,しばらくは. 本人の口から昔の話を聞く分にはいいと思う.なかなかそういう話の流れはないし,もう永久に機会は訪れなかったりするけど.それでもともと寡黙だったこともあって,けっきょく父の昔話は本人でなくほとんど