研究所で勤務していると、普段はあまり学生との接点がない。学会や展示などにでかけて、ようやく彼らと話す機会がある。自分はもう36歳なので、修士の学生とも干支で一回り以上も違う。自分の研究や作品を堂々と発表する彼らを見ると、エネルギッシュだなぁ、クレバーだなぁ、と素朴に感動してしまう。 一方で、こうしたイベントに現れる学生は、氷山の一角に過ぎないということも知っている。多くの学生たちは、大学院で悶々としながら、うだつの上がらない日々を送っているのだろう。そうした想像がつくのは、自分がそういう学生だったからだ。 サボってるわけではない。むしろ頑張っている。でもパッとしない。一方で、同級生が偉い人に認められたり、金回りが良くなったりして、賑やかに暮らしている。そんな彼らがうまくいってる理由が、ちっとも理解できない*1。彼らへの妬みなのか、自分への僻みなのか、心は鬱屈した思いで溢れていた。 そんな頃