ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連本を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「本を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2024年7月号より転載。 災害は起こる前の防災も大切だけれども、起こった後の対応も防災と同じかそれ以上に大切だ。 能登半島地震(1月1日)の3か月後、4月3日に台湾東部で起きた地震の際には、発災後3時間で避難所が設営されるなどの迅速な対応に注目が集まり、日本との差を見せつけた。 災害時の被災者支援については「人道憲章と人道対応に関する最低基準(通称スフィア基準)」という国際基準が設けられている。国際NGOや国際赤十字などで作られたスフィアプロジェクトが1997年に策定した最低基準で、避難所について、居住空間は一人当たり三・五平方メートル(約二畳分)、トイレは二〇人に