1973年生まれ、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国(現・ウクライナ)北部のノヴォフラード・ウォリンスキー出身。1997年にオデーサ陸軍士官学校、2014年にウクライナ国防大学を卒業、21年から現職 軍事力世界2位の大国が苦戦している――。今や当然となりつつあるこの事実だが、何もロシア軍が弱いワケではない。そこには、装備の数も質も圧倒的なロシアを欺き、常に先手を打ち続ける軍師の存在がある。「ロシアは私が最も対応しやすいシナリオを選んだ」。そう語るザルジニー総司令官に見えているものとは。 * * * ■用意周到な準備と柔軟な人員配置9月にアメリカの雑誌『TIME』の表紙を飾ったザルジニー総司令官。同誌で5月に発表された「2022年 世界で最も影響力のある100人」にも選出された 侵攻開始当初、ロシアは12時間で首都キーウに到達し、3日以内に制圧できると考えていた。しかし、それは1週間、1ヵ