「貯蓄から投資へ」というのは、筆者の記憶にあるだけでも、もう20年ぐらい使われているキャッチフレーズだ。しかし、このキャッチフレーズが長く存在したということは、一面、預金などの貯蓄商品から、株式や投資信託などの投資商品に、なかなか個人の資金が向かわなかったということでもある。しかし、銀行窓口を通じた投資信託や保険の販売が拡大していることもあり、「貯蓄から投資へ」は、いよいよ本当に動き出したように見える。 また、ゼロ金利が解除された現状は、「貯蓄から投資へ」をより必要とするものになった。昨年までのデフレで、「金利がゼロ」という状態は、実は普通預金でもタンス預金でも、貯蓄さえしていれば、時間の経過と共にお金の実質的な使い道が増えていたのだから、「貯蓄向き」の環境であった。 ところが今は、わずかながらでも消費者物価はプラスに変化しており、普通預金の金利では、インフレ率に追いついていない。金融資産