移籍して一カ月、柴崎岳はいまだデビューすることができていない。「胃腸炎で体重激減」「不安障害でホテルに引きこもり」と不穏な報道が流れ、退団騒動まで起きた。 自らスペイン行きを熱望しながら、なぜ万全の準備をしていなかったのか? スペイン移籍には、否定的な意見が渦巻いている。そこには同情と落胆の色が入り交じる。 しかし、会見でのスペイン語を聞く限り、勉強を重ねてきたことは明らかだった。スペイン語を習得した人間なら、あのやりとりが「一夜漬け」でないことは分かるだろう。他の海外挑戦日本人選手と比較して、準備を怠った、ということも、スペインを軽んじていた、ということもない。 では、なぜ日本人MFはつまづいたのか。 スペインという国を知った上で、カナリア諸島を訪れた者にしか知り得ない事情があるのだ。 テネリフェの水問題まず、柴崎が入団したテネリフェというクラブがあるカナリア諸島は、スペイン本土からは約