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2014年3月3日のブックマーク (2件)

  • 黙読習慣と個人主義

    作家・批評家のマングェルによると,黙読習慣について,はっきりと記した最も古い現存の西洋の文献は,アウグスティヌス(354-430)の『告白』だという1)。 青年時代のアウグスティヌスは,ローマの長官の誘いに乗って,ローマからミラノに移り,文学と雄弁術を教え始めた。 当時ミラノのキリスト教会の司教は,後にアウグスティヌスと並んで聖人に列せられるアンブロシウス(340?-397)だった。アウグスティヌスはアンブロシウスをたびたび訪ね,彼の説教に心を動かされて,若いころに入信したマニ教を完全に捨てる。 アウグスティヌスはアンブロシウスの生活の様子を書きとめている。この記述によれば,アンブロシウスの読書は次のようだった。 ⋯⋯かれが書を読んでいたとき,その眼は紙面の上を馳せ,心は意味をさぐっていたが,声も立てず,舌も動かさなかった。しばしば,わたしたちがかれのもとにいたとき――だれでもはいって差支

  • 相対化と相互作用の図書・図書館史

    「古代から中世にかけてのの読み方は,現代の皆さんとは決定的に異なっていました。何が違っていたと思いますか?」 2013年に同志社大学に着任し,はじめて司書科目「図書・図書館史」の授業を受け持つことになった。冒頭の問いはその初回授業で学生に投げかけたものである。 「図書・図書館史」を受け持つにあたり,自分に対し2つの課題を設定した。1つは全体のテーマを初回で説明し,それに沿って授業を構成すること。もう1つはそのテーマを受講者の興味を引くようなものにすることである。学生時代の自分は,その授業のテーマ,あるいは受講する意義がわからなければ面白みを感じず,また面白くないと判断すれば寝てばかりいた。そんな自分でも興味を持って起きていられるような内容にしたいと考えたためである。 実際の初回授業では,多くの受講生が思い浮かべるようなメディアや図書館のあり方を相対化することと,社会と知識・情報の共有体制