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2018年10月29日のブックマーク (1件)

  • ローマ法における去勢

    紀元後四世紀以降の後期ローマ帝政期の皇帝たちは、発達した宮廷機構の内部に多くの宦官―去勢者―を有した。このような去勢者に関して稿は、法史料、特にユスティニアヌス一世(在位五三七~五六五年)治世の法集成である所謂『ローマ法大全 Corpus Iuris Civilis』に収録された紀元後二―六世紀の法学者の見解や勅法を分析し、去勢者や生殖不能者の法的位置付け、起草者たる法学者、皇帝、中央行政の去勢認識の明確化を試みた。中でも、従来看過されてきた去勢者と奴隷・被解放自由人という法的身分との関連、並びにユスティニアヌスの法典編纂事業に伴う規定の変化に注目し、用語(一)、去勢奴隷に関する規定、帝国内の去勢を禁止する勅法(二)、そして被解放自由人に関しては婚姻や養子、相続をめぐる去勢者の法的能力(三)の問題を考察した。 結論は以下の二点に集約される。第一は、過去の規定の整理や新しい勅法の発布を伴う