いまさらだが、金融資本主義がおかしくなっている。 世の中、やっとそのことに気がついた。 では、それだけかといえば、そんなことはない。 民主主義もかなり変質しているはずだ。 いや、それだけではない。 自由主義もおかしくなっている。 いやいや、むしろ資本主義と民主主義と自由主義とが 互いに境界を失って溶け出しているというべきだ。 いったい、何がおこっていて、 それをどのようにみればいいのか。 本書には、そのヒントが丹念に語られていた。 ぼくには、人前でのタバコの喫いすぎから生活能力の欠如まで、自慢できるほどいっぱいの欠陥があるのだが、それを仮に“思想方面”に絞っても(そういうことが仮りに可能だとして)、まだまだいろいろの欠陥がある。誰かがぼくを詰(なじ)ろうとすれば、その点をこそ問題にして批判したくなるような欠陥だ。ある領域、ある概念、ある傾向に対して、いちじるしい浅慮、脱落、歪曲、無知、逸脱
