分厚く重い書籍であるため持ち歩くことはできず、ずっと敬遠していましたが、読み始めてみると、驚くほど読みやすい文章で、実質2日で読了してしまいました。2013年頃に図書館で言語論的転回、特に野家啓一氏との論争の部分だけ読んだ時、小難しい議論で時間のかかる本だとの印象を持ってしまいました。今年春も、『歴史・文化・表象――アナール派と歴史人類学』掲載の二宮宏之氏と柴田三千雄氏との対談で、遅塚氏は、特に因果論にこだわってたため、(アナール派の社会史の人だとは思っていましたが)、基本的に、歴史学が「科学」であることに歴史学の史実性・客観性の根拠の権威を求めるタイプではないか、との先入観ができてしまっていたためです。 今回ちゃんと完読してみて、以上の認識は大きく改められました。本書は、300頁くらいまではするする読めました。このまま徹夜して一気に完読してしまおうか、と思ったくらいです。著者の書き方は、
![最近読んだ歴史学方法論書籍(9) 遅塚忠躬『史学概論』 ver1.1](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/d0a1066b3384dc9c856ecd9c97c90e4c3f409de2/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fshahr.up.seesaa.net%2Fimage%2Ficre_crack.jpg)