拡大 大学生や支援関係者を前に「アウトリーチ」の方法を伝える谷口仁史さん(奥)。この部屋は日ごろ、引きこもり当事者が集まる居場所としても活用している=11月中旬、佐賀市のNPO法人 【扉の向こう 引きこもり支援の今 (下)】 家族だんらんの場となるはずのリビングで、40歳くらいの女性が耳を手で覆い、何かをつぶやきながら歩き回る。その傍らで白髪姿の父親が床に座り、うなだれていた。 「これは、私がかつて支援に訪れた家庭です」 佐賀県で引きこもり支援を続けるNPOスチューデント・サポート・フェイスの代表理事、谷口仁史さん(43)が、女性の状態を病院に伝えようと撮影した映像を見せてくれた。 女性は元教員。学級崩壊に直面して心を病み、10年以上引きこもっていた。父は仕事を退職して女性を世話したものの、自らもうつ状態に。2年間風呂に入らず、テレビばかり見ていた。暴れる女性を殴ることもあった。母は被害妄