hGrimoire122のブックマーク (10)

  • 『差別の倫理学のラウトレッジハンドブック』の「イントロダクション」(Kasper Lippert-Rasmussen) - ボール置き埸

    書誌情報 導入 Introduction 概念的問題 Conceptual issues 差別の不正さ The wrongness of discrimination 被差別者のグループ Groups of discriminatees 差別の現場 Sites of discrimination 差別をなくすことと軽減すること Eliminating and neutralizing discrimination 差別の歴史 History of discrimination 結論 Conclusion 記事は、英米圏の差別の哲学・倫理学に関するハンドブックの導入の要約である。この章はハンドブックの各章の紹介になっており、また差別の哲学の広さが分かるようになっている(種差別に一切触れてないのは驚きであるが)。 日語で議論を紹介している論文としては、例えば堀田の論文がある。 堀田義太郎.

    『差別の倫理学のラウトレッジハンドブック』の「イントロダクション」(Kasper Lippert-Rasmussen) - ボール置き埸
  • こんなのは地獄じゃない~神奈川芸術劇場『出口なし』 - Commentarius Saevus

    か KAAT神奈川芸術劇場で白井晃演出サルトル『出口なし』を見てきた。ガルサンが首藤康之、エステルが中村恩恵、イネスが秋山菜津子である。これを生で見るのはたぶん4回目くらいである。 www.kaat.jp いろいろ工夫したのはわかるのだが、全体に全く趣味でなくて辛くて眠かった…とりあえず、全体に踊りがあるのが良くない。踊りというのは気をつけないと美しくなりやすいが、『出口なし』というのは惨めで醜い地獄のような人生に関するドタバタしたブラックユーモア劇であって、美しかったりセクシーだったりしてはダメだと思うのである。言葉というのは醜悪な人生を表現するのは適しているが、その点、ダンスというのはどうしても美しく見えるところがあり(醜悪さを表現できないわけではないと思うが難しい)、鍛えられたダンサーが身体を動かすと芝居の見映えがひどくこぎれいになってしまう。これでは地獄ではない。 さらに、サルトル

    こんなのは地獄じゃない~神奈川芸術劇場『出口なし』 - Commentarius Saevus
  • 「運命の男」とハードボイルドヒロインの誕生~『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を見た。言わずと知れたルイーザ・メイ・オルコットの有名作の映画化なのだが、まあセンスのない日語タイトルがついている。グレタ・ガーウィグ監督作である。 www.youtube.com お話は『若草物語』に忠実でありつつ、かなり変えている…というか、みんなが疑問に思いがちなジョー(サーシャ・ローナン)の結婚について、メタフィクション的なものすごくひねったオープンなエンディングを用意している。さらに時系列を乱した編集になっており、最初はなんか「え、もうローリーふられた後なの!?」みたいなところから始まってちょっと面らったのだが、だんだん少女時代と現在の似たような体験が併置され、それがジョーの頭の中で物語になっていくプロセスを示すためにこういう構造になっていることがわかってくる。これは脚色としては大変凝ったうまいやり方で、古典の再構成としてはお

    「運命の男」とハードボイルドヒロインの誕生~『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    hGrimoire122
    hGrimoire122 2022/03/30
    ティモシーシャラメはオムファタルだった
  • なんなんだこの終わりは〜蜷川幸雄、オールメール『ロミオとジュリエット』 - Commentarius Saevus

    蜷川幸雄、オールメール『ロミオとジュリエット』を見た。途中までは非常に良かったと思うのだが、最後があまりにもひどくかった…好みの問題だと思うがふざけんなって感じだった。 他のオールメールと同様、ヨーロッパふうの衣装や舞台美術で、モンタギュー家の息子ロミオ役が菅田将暉、キャピュレット家の跡取り娘ジュリエット役が月川悠貴である。プロローグは省略されているが、黒と白で衣装分けした両家の若党たちがヤンキーか暴走族かというようないでたちで切り結ぶスピード感あふれる第一幕第一場から最後まで、カットもあまりせずじっくり若い恋人たちの悲恋を見せる。 全体的に、この若い恋人たちにこそ理があることを強調し、社会や親たち、周りの者たちがいかにひどい圧力をロミオとジュリエットにかけているか、ということに重点を置いた演出だと思う。初日ということもあって全体的に役者の台詞回しがぎごちなく(ガートルードがまるっきり台詞

    なんなんだこの終わりは〜蜷川幸雄、オールメール『ロミオとジュリエット』 - Commentarius Saevus
  • 『アナと雪の女王2』メモ(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『アナと雪の女王2』を見てきたのだが、これはどこかの媒体に長いレビューを書くかもしれないので、とりあえず気付いた点のメモだけ置いておこうかと思う。 ・秋の葉などを基調とした赤っぽい色調で、前作とは違う色合いを見せようとしている。 ・ロマン主義の絵画にすごく影響を受けている。たまにフリードリッヒみたいである。 ・私が前作について批評で指摘したようなことがすごく意識されていて驚いた。 ・エルサにガールフレンドはいない。アセクシュアルである。 ・台は終盤、回収しきれていない感がある。 ・エルサの終盤の衣装がフィギュアスケートかサーフィンのコスチュームみたいで体にピッタリ張り付いており、かなりフェティッシュ化されているように思った。氷を操る力とともにあるエルサのアイデンティティを象徴していると思われるのだが、一方でディズニーのヒロインとしては限界と言えるくらい尖った衣類なのではという気がする。ア

    『アナと雪の女王2』メモ(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • どうして『アナと雪の女王』のクリストフには財産がないのか〜女相続人の文芸史(注意:山ほどネタバレあり) - Commentarius Saevus

    数日前からツイッターでこんなのが話題になっている。 夏野剛×黒瀬陽平×東浩紀「男たちが語る『アナと雪の女王』——なぜクリストフは業者扱いなのか」 タイトルが明らかに釣りで、さらに登壇者がこの通りなのでずいぶんと批判が多いのだが、まあこの面子だと過去の文学的・映画的伝統をディズニーがどうふまえてるかとかは全然出てこないかもしれないと思うので(他はよくわからないがとくに三番目の論者は歴史に全然興味がないだろう)、とりあえず「クリストフに財産・身分がない」ことの背景にはどういう文芸の伝統があるのかっていう話を、「女相続人もの」の歴史を使ってちょっと分析していきたい。この「女相続人もの」というのは日の文芸だとそんなにメジャーな伝統ではないように思うのですんなり理解しにくいところがあると思うのだが、これを知っていたほうがたぶん『アナと雪の女王』のみならずいろんなアメリカのロマンティック・コメディ映

    どうして『アナと雪の女王』のクリストフには財産がないのか〜女相続人の文芸史(注意:山ほどネタバレあり) - Commentarius Saevus
  • 女王を称えてるだけ~『ボヘミアン・ラプソディ』における、クイーンの外に広がる闇 - Commentarius Saevus

    『ボヘミアン・ラプソディ』を見てきた。言わずと知れたクイーンの伝記映画である。 www.youtube.com 主人公であるザンジバル生まれのパールスィー家庭の息子フレディ(ラミ・マレック)がギターのブライアン(グウィリム・リー)とドラムのロジャー(ベン・ハーディ)のバンドに入り、ベースのジョン(ジョゼフ・マゼロ)も加入して大成功するが、やがてフレディは自分がゲイ(あるいはバイセクシュアル)だということを自覚しはじめ、恋人のメアリー(ルーシー・ボイントン)とも以前ほどうまくいかなくなってきたり、バンドとも亀裂が生じていろいろなトラブルを経験し、やがてエイズになったことがわかるが、ライヴエイドで奇跡の復活を…という話である。 とりあえず私のクイーンに対する思い入れが相当偏っているからかもしれないと思うのだが(初めて自分のお金で買ったシングル盤はフレディ追悼盤「ボヘミアン・ラプソディ」だった)

    女王を称えてるだけ~『ボヘミアン・ラプソディ』における、クイーンの外に広がる闇 - Commentarius Saevus
  • フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(1)物語・ノンフィクション編 - Commentarius Saevus

    最近炎上していたこのまとめがとにかくひどい。 「クソフェミ「まずはを読め!」俺ら「どのを?」のテンプレに答える当にフェミニズムが学べる5冊の」 とりあえずこのまとめのひどさはいくつもあるのだが、 ・タイトルに「クソフェミ」というのが入っている時点で、フェミニズムを侮蔑する気が全身から汗のようににじみ出ている。真面目に謙虚さと疑いを持って学ぶ気はないようだ。 ・そもそもフェミニストが「まずはを読め」というのをテンプレ的に言ってくるという状況があまり想像できないが、それはともかくとして他の専門分野で妙なことを言うと「を読んでから言え」と言われるのは当たり前なのに(宇宙、地震や火山、医学、歴史など)なぜフェミニズムだけこんなにウザがられているのか理解できないし、また関心があるという人にをすすめるのは別に普通である。 ・フェミニズムについて知りたいくせにいきなりロールズやセンをすすめ

    フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(1)物語・ノンフィクション編 - Commentarius Saevus
  • ホワイトプランの白戸家って実は結構「クィアな家族」だよね - 2010-02-26 - Commentarius Saevus

    実は私はソフトバンクの白戸家のお父さんの隠れファンなのだが(北海道犬で同郷人だしね)、ホワイトプランの新しいCMがとても面白かった。 新しいCM↓ 「実家」編 犬になっちゃったお父さんが一乗谷の母(若尾文子。相変わらず着物姿がお美しい+信じられないほど若々しい)のところに里帰りするのだが、出迎えた若尾母に「元気ならそれでいいや」と言われて「こんなに変わってても?」とお父さんが返事すると、「気にせん気にせん」と若尾母が返すのがとてもいい。 …それで、この会話を見てふと、実はこの白戸家のお父さんって結婚後に性別を変えたトランスジェンダーみたいに描かれてるよなと思った。同窓会のCMからすると白戸家のお父さんは若い頃は人間だったみたいだし、たぶんお母さんと結婚した後で白犬になったのだと思う(そうでないとダンテ・カーヴァーと上戸彩は生まれないはずだ…いや、どっちも養子かもしれないし、お母さんのほうの

    ホワイトプランの白戸家って実は結構「クィアな家族」だよね - 2010-02-26 - Commentarius Saevus
  • 月に帰るクィアな処女〜『かぐや姫の物語』 - Commentarius Saevus

    『かぐや姫の物語』を見てきた。話は誰でも知ってる『竹取物語』だし、絵画的な魅力の詰まった画面の処理とかフェミニズム的な物語、仏教的な要素などについては既にたくさんレビューが出ているのでもうあまり書くこともないだろうと思うのだが、ひとつ気付いたのはかぐや姫っていわゆるひとつの「クィアな処女」だったということである。今まで全然そういうことは考えたことなかったのだが、月の人で結婚を拒むという明らかな特徴があるのになんでそんなことに気付かなかったんだろう。 「クィアな処女」(queer virgin)というのはTheodora A. Jankowski, Pure Resistance: Queer Virginity in Early Modern English Drama (University of Pennsylvania Press, 2000)に出てくる概念である。ジャンコウスキの定

    月に帰るクィアな処女〜『かぐや姫の物語』 - Commentarius Saevus
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