<好景気の中で貧困が生じ、優しさの中で人が苦しむ――そんな沖縄の謎を16年前に沖縄に渡った元証券マンが分析した『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』> かつて職場で、沖縄出身のアルバイト青年に働いてもらっていたとき、かなり戸惑ったことを憶えている。温厚で性格も穏やか、仕事もきちんとできるのに、時間にルーズであることを気にも留めないなど、こちらが"常識"だと思っていることが通用しない場面が多かったのである。 もちろん、彼が沖縄の全てではない。だが、『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』(樋口耕太郎・著、光文社新書)を読んだ結果、やはり"沖縄の人ならではの不可解さ"というものは少なからずありそうだと分かった気がした。 事実、著者も本書の冒頭で、沖縄には謎が多いことを認めている。 2012年以降、好景気が続いており、経済は絶好調。数々の特別措置と手厚い経済援助を受けているため、社会インフラの