この秋、中国東北部の遼寧省を訪ねた。県日本中国友好協会の同行取材、県と省が友好提携を結び30年を記念した訪中だった。日本政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化して1年余り、両国関係はかつてないほどに冷え込んだままだ。かの国で垣間見た「反日」の現実は−。 告白する。出張を命じられ、気が重かった。デモで破壊された日系スーパーの映像は記憶に新しかった。 行き先は省都・瀋陽市だという。インターネットで調べる。「旧満州の奉天」。人口820万人。なのに、空ばかりが広い田舎町の景色が浮かんだ。 成田から直行便で3時間半、瀋陽桃仙国際空港はしかし、ターミナルがガラス張りで目を見張った。聞けば、8月にオープンしたばかりだという。 一行を乗せたバスの車窓に気付く。見上げる高層ビル群、マンション建設もあちこちで続いている。 脇をベンツ、BMW、レクサス、アウディが追い越していく。高級車の数は日本より明らかに多