『少女終末旅行』が面白い。この作品の何が面白いのかと聞かれたら、私は迷わず「会話が面白い」と答える。この作品は、原作の時点で既に優れた会話劇を展開しているが、アニメ化したことによって「声」と「間」が与えられ、その完成度を高めることに成功している。 『少女終末旅行』は、ウェブサイト『くらげバンチ』でつくみず氏が連載している漫画を原作として、2017年10月から放送を開始したTVアニメだ。文明が崩壊した終末世界を、半装軌車ケッテンクラートに乗って彷徨う二人の少女・チトとユーリの旅を描いた物語である。 物語の中で完成度の高い会話を実現するには、視聴者が思っている以上に知識と技術を要する。今回は『少女終末旅行』という作品を通して、フィクションに命を与える会話の作り方を学んでいくことにしよう。 物語における「リアルなセリフ」とは何か 「面白い」という定義は人によって好みが異なるから、そのままの表現で