長らく空席だった公正取引委員会の委員長に内定した元財務次官の杉本和行氏は、2月15日、国会の所信聴取の場で新聞社の再販制度に触れ、「特に今の段階で見直す必要があるは考えていない」との考えを示した。「吠える番犬」を目指し新聞再販の見直しに意欲を燃やしてきた前任の竹島一彦氏との好対照ぶりが際だった。 日本の新聞社が絶大な恩恵を受けている「新聞再販制度」だが、その存在は余り知られていない。正確には再販価格維持制度と言うが、この制度のおかげで日本の新聞社は販売店に対して定価での販売を強制することができる。自由主義経済体制を標榜する日本では本来、モノの値段は市場原理で決まることになっている。そのため商取引上優越的地位にあるメーカーが定価を決定し、販売店に対してその値段での販売を強いる行為は独占禁止法で禁止されている。しかし、日本では新聞、書籍、雑誌、音楽CDの4品目のみが再販の対象として、例外的にメ