既報のとおり、グランプリライダー・阿部典史氏、通称"ノリック"が亡くなった。32歳と1ヶ月という短い人生を、彼はレースと同じように全開で駆け抜けていった。 ここでは彼が世界中のレースファンを沸かせた最初のレース、1994年の日本グランプリを再現したいと思う。あのレースを見た人は、一生ノリックの名前と走りを忘れないだろう。合掌。 1994年4月24日、三重県・鈴鹿サーキット。朝まで降り続いた雨も上がり、路面はほぼドライコンディションとなっていた。1994年 世界ロードレース選手権 第3戦「日本グランプリ」のGP500決勝が間もなくスタートする。 土曜を雨にたたられたため、スターティンググリッドは金曜の予選タイムのままほぼ確定。ポールポジションはゼッケン (5) ヤマハのルカ・カダローラ、2番手はホンダのエース (4) マイケル・ドゥーハン、3番手に前年の世界チャンピオン (1) ケビン・シュ