周囲になじめず成長し、操縦士になった〈ぼく〉。そんな〈ぼく〉は六年前、サハラ砂漠に落っこちる。極限の状況の中、出会ったひとりの少年は、〈ぼく〉に大切なことを教えてくれた……。自らも飛行機乗りであるサン=テグジュペリが1943年に発表した "Le Petit Prince"、邦題「星の王子さま」でよく知られる作品の新訳。この作品は、子どもへの語りという形式を借りつつ、その語りの中に少年を主人公とした寓意的ストーリーが埋め込まれるという複雑な構造を持ち、その行動主義的内容を考えても、児童だけの文学にはとどまらない。人間にとっての愛・連帯・想像力・心などの大切さを解いた、フランス文学に燦然と輝く珠玉の中篇。なおこの作品の朗読に、声優ナレーターの佐々木健氏によるもの(STORYTELLERBOOK)と、声優の恒松あゆみ氏によるもの(ふぁんた時間)がある。(大久保ゆう) 「星の王子さま」