京都から鉄道で約90分、 すぐ北は日本海の舞鶴湾という土地に、 木工家・吉岡民男さん(55歳)の工房があります。 「わたしのおはし」の特長である、 細いけれども強靭でしなやかという箸の個性を 黒檀で実現したいと考えた「三角屋」さんが、 材木商の伝手をたどって吉岡さんに依頼をしたのは、 いまから1年ほど前のことでした。 ▲一時は数十人いた工房ですが、現在はひとり。繁忙期には手伝いを呼ぶそう。「1人のほうがいいんです。納得いくようにできるで。人がやると気になってしょうがないですね。うまいこと、なんか行かないですわ。簡単にできる仕事じゃないんでね」と吉岡さん。 舞鶴あたりは塗り箸の生産地で、 吉岡木工では、お父さんの時代から、 その下地づくりを長くやってきました。 民男さんの時代になって、約20年前に、 下地づくりや大量生産の安い箸ではなく、 希少価値の高いものをと、 銘木を使った箸の製品づくり