スカッと抜ける青空に、照り返す木々の緑。そこに黒く輝きながら優雅に舞うアゲハチョウ。網を手に追いかけた興奮を覚えている方も多いでしょう。大人になっても採集を続ける昆虫愛好家には研究者級の人も多く、レッドデータブックの作成でも活躍しています。一方で、採集には希少種を脅かす自然破壊だとの批判も。昆虫採集、どうあるべきでしょう? アマも自然研究に貢献 「こんな姿の虫が存在するなんて。とにかく驚きでした」 1980年春、東京都町田市のお寺で見た虫を吉田篤人さん(54)は忘れられません。市内の高校に進学し、入った生物部の採集会。顧問の先生が長さ数メートルもある捕虫網で、カエデの樹上にたくさん咲いた赤く小さい花からすくい取った虫でした。 小さな瓶に入れた1センチもない小さな虫。一見するとハチ。でも上半身は……カミキリ? その虫、コジマヒゲナガコバネカミキリの異形は、昆虫好きで図鑑の虫だった吉田少年にも