版木一部を試した跡の残っている。画像左端真ん中より少し下、手前の建物の周り、道路部分に走る細い直線など。 乱雑な摺りである。 「小野」印拡大。 何故これを捺したのか。自分で摺ったものだからではないだろうか。他人の作品に自分の印を捺すだろうか? 藤牧の版木を使って摺った模作のようなものとして印を捺したのだろうか。版木を譲り受けたのだろうか? 他人摺りの証拠と考えていいのではないだろうか。 眞《赤陽》 偽 彼方に夕日がありながら道路が不自然に光っている。《赤陽》は当初昼の景色として制作されていたようだ。しかし沈む夕日の光を見て急遽構変更したものと推定される。そのため画面下部の一部はコラージュになっている。 しかしこの他人摺りでは建物の影版も摺ってしまっている。コラージュとなった画面下部の位置を探ったのか、道路の広い部分を拡大すると、摺り損じのような跡、細い直線が数本走っている。切断した版木によ