完全な人間を目指さなくてもよい理由?遺伝子操作とエンハンスメントの倫理? 作者: マイケル・J・サンデル,林 芳紀,伊吹友秀出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2010/10/12メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 181回この商品を含むブログ (35件) を見る 2010年10月24日京都新聞掲載 生命倫理というと、日本では脳死臓器移植や安楽死・尊厳死の問題がさかんに論じられてきた。それらは簡単には解決できない大問題であるが、それに匹敵するほどの難問がいま立ち上がってきている。 それは、最先端医療技術をもちいて、人間の身体的・精神的能力を増大させたり、あるいはこれから生まれてくる子どもに遺伝子操作をしてより優れた子どもを作り出したりしてもよいのか、という問題である。英語では「エンハンスメント」すなわち人工的になされる能力増強・能力拡大の倫理的問題と言われている。 個人の