図書館の書架を巡るのは楽しい。街中の書店が姿を消す中、思いがけない本と出合う貴重な場だからだ。以前、何が入っているか分からない司書お薦めの「福ブックセット」を借り、ロケット開発に挑む町工場の奮闘を知った。インターネットで本を調べても関心がある分野に偏りがち。視野や世界を広げてくれる図書館のありがたみを感じた。
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古本屋チェーンとして一世を風靡し、現在ではCDやDVD、家電やブランド品なども扱う総合リユース店として知られるブックオフ。創業当初は「出版文化を破壊する」存在として批判されることもありましたが、とくに地方で果たした文化的な役割は大きく、今では10~30代の若者から「エモい場所」「原風景の一部」として支持を集めています。 ライターでチェーンストア研究家の谷頭和希さんが、現代日本におけるブックオフの意義・功績について批評・分析する連載『ブックオフで生きてきた』。第5回となる今回は、ブックオフと公共図書館を比較することで、ブックオフが持つ公共性について改めて考え直す回です。 著者フォローをすると、谷頭さんの新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます。 ブックオフと図書館 ブックオフの存在によって、少なからぬ人がさまざまな本やコンテンツとの出会いを果たしていることはこれまでの連載で見てき
図書館などの公的な施設を民間企業に運営委託するとコストが削減でき、サービスも向上するといいます。公共施設を民間企業に管理運営を任せる指定管理者制度は魔法の杖なのでしょうか。渡瀬裕哉氏が著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)で解説します。 【関連記事】医療先進国・日本が「ワクチン開発競争」に勝てない納得の理由 図書館のポテンシャルを引き出す民間の力 学問の基本となるのは色々な本を読むことです。個人で何万冊もの蔵書を持つような人もいますが、多くの人は図書館などを利用して調べ物をしたり、あるいは趣味の読書をしたりするのではないでしょうか。 日本に初めて近代的な図書館ができたのは、明治5年(1872)のことです。それ以前にも、蔵書を管理し一般への貸出を行う人はありましたが、明治初期には公共の社会施設としての図書館が福澤諭吉のような知識人によって紹介され
人口減少時代への移行によって、新しい「パブリック(公共)」をつくろうとする市民の動きが各地で見られています。例えば、石川県加賀市の山代温泉通りに開設された「おんせん図書館みかん」は、市民がつくる公共をコンセプトに掲げ、市民立の私設図書館づくりに取り組んでいます。一方で、これまでの公設の「パブリック」をアップデートしていく動きも出てきており、公設図書館の新しい形を模索するための実践も広がっています。今回の対談では「図書館」のフィールドで、公設のパブリックと私設のパブリックに取り組むふたりを話し手に、これからの時代の公設図書館・私設図書館を考えていきます。 役割の違いや連携の可能性、これからのパブリックの行く末 今回の公開対談では、伊那図書館長、長野県立図書館長などを歴任し、新しい図書館づくりに取り組まれてきた平賀研也さん、静岡県焼津市の商店街で「みんなの図書館さんかく」を開設し、加賀市の「お
つまり、人口減少社会への移行によって、コンパクトシティと言われるように、都市の機能や居住地が集約し、都市が縮小していくと思いきや、人間は自分の住みたいところに住むので、まちのなかに穴(空き地や空き家)がたくさんできて、都市がスポンジのようになっていくと論じられています。 もちろんこれを阻止するために、行政が空き家対策で公共施設をつくったり、リノベーションまちづくりを促進したりの動きはありますが、それではとても間に合いません。そこで重要なのは、民間や市民の取り組みで、そのひとつが私たちが取り組む「みんなの図書館」の実践です。 私設公共空間のコンセプトいわゆるリノベーションまちづくりとは異なり、「さんかく」が担う機能のひとつの特徴は、私設公共空間のコンセプトを目指していることです。つまり、ただ空き物件を使って稼げれば良いのではなく、そこに公共圏をつくりだそうとしています。 公共圏は、ドイツの哲
この問いについて考えさせられるトラブルはしばしば日本でも話題になる。2019年10月、関東を大型台風が襲ったときに路上生活者が避難所への入所を断られた件、そして2020年6月の支援団体による炊き出しに都が都庁敷地内からの退去を要請した件などだ。 そんななか、これらのトラブルとまさに同じテーマを持つ映画、『パブリック 図書館の奇跡』が上映されることになった。映画の舞台はアメリカ・シンシナティ。大寒波の到来によって命の危機を感じたホームレスの人々が、図書館のワンフロアを占拠するというストーリーだ。 7/17(金)公開『パブリック 図書館の奇跡』/予告編 この公開を記念して2020年7月8日、『映画を通し考える、日本の公共性を持つ空間のあり方と未来』というイベントがオンラインで開催され、NPO法人ビッグイシュー基金のスタッフ、川上が登壇した。 公共とは、パブリックとは何なのか、そして今私たちにで
大寒波で命の危機を感じたホームレスの集団が図書館を占拠する−。そんな米国映画「パブリック 図書館の奇跡」(2018年)の公開(17日)に先立ち、オンラインイベントが行われた。日本国内でもホームレスが避難所に受け入れてもらえないなど公共空間から排除されており、イベント出席者が、公共の在り方などについて意見を交わした。 (中村真暁) 映画は、図書館に立てこもったホームレスと行動を共にする図書館員の勇気ある行動が描かれる。貧富の差、人々の分断、そして生きる希望など、考えさせられる内容だ。 イベントでは、司会を含め出席者四人が感想や意見を述べ合った。生活困窮者らの支援活動に取り組む一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さんは「路上生活者の多くは、図書館や公園など、さまざまな都市機能に依存して生きている」と説明。
近年、インターネットの普及や書籍等の電子化に伴い、図書館の社会的役割が大きく揺らいでいるように思われる。今や図書館の一般的イメージは、「無料貸本屋」、あるいは最悪「コーヒーショップの添え物」といった感じではないだろうか。私は子供のころから図書館のヘビーユーザーであり、今の自分の6、7割方は図書館で借りた本やCDから学んだ知識が形作ったと思っているので、寂しいことである。 図書館もさることながら、図書館を司る司書もまた、一般の利用者からは縁遠い存在だ。本の整理係として以外、司書の具体的な職掌を知らない人が大多数ではないだろうか。最近では自治体等の財政難もあって、司書の地位も不安定化しているようだ。 こうした傾向は世界的なもののようだが、最近アメリカでは、図書館、あるいは図書館司書に従来とは違った役割を見いだす動きが出てきている。その一つが、Library Freedom Projectだ。2
青土社 ||現代思想:現代思想2018年12月号 特集=図書館の未来 はじめに 心覚えのメモ作ってたら、なんか「出しとこうか」という気になった。 なので、単にメモ並べたものになってる。 実は逆から読んでる。なぜ逆から読んだかはわかる人にはわかる。 そして、このメモでも意図的にオミットしてるものはあります。興味ないというか、その論じ方では意味がない 全体への註釈 個人的にはこのメンバーであっても無意識に/意識して「公立図書館=公共図書館」って言ってるのが気になる。概念の位相が違うよね。法にもそうはなってないよね。それこそ単なる慣習だよね あと、みんなしてNYPLをひいてくるのが面白かった この短時間でみんなよくやるなあ、というのが正直なところ。なんなんだろう… 岡本 p.9:初手に丸山もってくるのは、彼こそ戦後民主主義の子かもしれん、と思わされた。あ、自分で「伝統的」言うとるな あと、理念的
雑誌『現代思想』の図書館特集、あらあら読了。 https://www.amazon.co.jp/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%80%9D%E6%83%B3-2018%E5%B9%B412%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E7%89%B9%E9%9B%86-%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%81%AE%E6%9C%AA%E6%9D%A5-%E5%B2%A1%E6%9C%AC%E7%9C%9F/dp/4791713745 全体の感想としては… 総論や前書きがないのは困る 総論が無いので議論の新しい段階が見えづらいなというもの。「図書館の未来」という総括タイトルはちょっとワイドすぎる。各論タイトルをみると「民主」とか「公共」とか多いので、図書館と民主制、公共性がお題のようにも見えるが… 基本、1970年代の中小レポート的、市民の図書館的な貸出至上主
奈良市は、近鉄高の原駅そばにある市立北部図書館(右京)で、隣接する京都府木津川市の市民に本を貸し出すサービスを始めた。ニュータウンが駅を挟んで両市にまたがり、木津川市民から「本を借りたい」との要望が強かった。奈良市も利用実績に応じて木津川市から得た負担金を、新たな蔵書の購入などに充てることができ、双方にメリットがある。 両市は1月に協定を結び、公共施設の有効活用などを進めている。木津川市民への本の貸し出しも協定の一環で、9月30日からスタートした。 高の原駅は急行の停車駅で、通勤・通学のため、両市民が多く利用している。これまで、木津川市民は北部図書館で閲覧はできたが、本を借りられなかった。 北部図書館は2004年9月にオープンし、蔵書は11万6000冊。奈良市は、木津川市民の利用を全体の2割程度と想定し、木津川市から得られる負担金は年間700万~800万円と見積もる。新たな蔵書の購入に備え
およそ半世紀前の話である。アメリカ東部コネティカット州で、通学途中の小学生2人が姿を消した。姉のクローディアは11歳、弟のジミーは9歳。2人の行方は1週間たっても分からなかった。これは誘拐ではなく、家出だった。しかも、不思議な家出だった。家出を計画したクローディアには、独自の哲学があった。 「あたしの家出は、ただあるところから逃げだすのではなく、あるところへ逃げこむのにするわ。どこか大きな場所、気持ちのよい場所、屋内、その上できれば美しい場所」 そう決心した彼女が選んだのが、ニューヨークのメトロポリタン美術館だった。 アメリカ児童文学の名作「クローディアの秘密」(E.L.カニグズバーグ作、松永ふみ子訳、岩波少年文庫)は、その姉と弟が繰り広げる冒険の物語(フィクション)である。 「クローディアの秘密」(岩波少年文庫) 葉を隠すには森が一番と言われるように、2人は美術館の雑踏の中に身を隠した。
市民と〈設計〉した公共空間 ―太田市美術館・図書館における基本設計ワークショップ― コンサルタント/プランナー:氏原茂将(うじはら しげゆき) ことのはじまり 「基本設計のポイントとなることを、ワークショップの参加者が決める」 2017年4月、群馬県太田市に開館した太田市美術館・図書館(図1)を設計した建築家・平田晃久氏が求めていたワークショップの内容である(1)。ワークショップのファシリテーターを依頼されていた私は、漠とした魅力を感じながらも考え直すことを勧めた。建築の素養のない人が公共施設、しかも美術館や図書館のように複雑な機能を持つ施設の設計を決められるとは思わなかったからだ。ファシリテーターとして責任が取れないと思ったのだが、「参加者が決める」という魅力が勝り、引き受けることとなった。 当初は成功イメージもなく、見通しを立てられなかったワークショップだったが、結果的に設計プロセスに
「報告」(2)に書いたことが、今回の集会の背景である。私の個人的な思いから開かせていただいた。要するに、オープンガバメントという理念を図書館関係者がどれほど意識しまた実践しているのかを確認したいということである。ワークショップという形式を標榜して出席者に質問や意見を書いていただきたいというところが重要であり、それについては実際にさまざまな書き込みが40件以上得られた。これをHPに出したところから、次の過程が始まる。ワークショップという意味では非常に不十分なものに終わったことは率直にお詫びしたい。だが、参加者の多くはこの問題には解決策が用意されているのではなくて、これから皆でつくっていくべき性質のものであることをご理解いただいたのではないかと思う。 豊田さんが「これは行政支援ではありません」というタイトルでした講演がいみじくも示しているように、図書館が実施するサービスは公費で実施するものであ
まだ大学院生および助手だった30年以上前の1980年代の中頃に、私は日本図書館協会の図書館の自由に関する調査委員会の委員を数年務めていた。そこで関西の石塚栄二さん(大阪府立図書館、帝塚山大学)、塩見昇さん(大阪市立図書館、大阪教育大学)たちと知り合う機会があった。当時は「図書館の自由に関する宣言1979年」が出たあとで、解説が出たり「シリーズ図書館の自由」も出ていたので、「図書館の自由」がどういう理念に基づいているのかを勉強した。また、『図書館員の倫理綱領』が出て、単に自由を主張するのでなくて、それを実現するためにひとりひとりの図書館員の社会的責任を明確にしようとする考え方に触れた。日本的な図書館環境のなかで、アメリカ図書館協会と同様に「宣言」と「綱領」を示して社会的な主張をするところに新しい可能性を見たが、同時に、その危うさも感じていた。 当時、『図書館雑誌』(1980年3月号)で 「行
3月25日(日)の午後1時から4時まで慶應大学三田キャンパスで、公開ワークショップ「図書館はオープンガバメントに貢献できるか」を開催した。終了してからすでに4週間近くになるが、新学期になっていろんなことに時間をとられて書けなかった報告をここでしておきたい。公式の報告はホームページで行っているので、ここは個人的な視点からの報告である。 まず年度末の日曜日のお忙しいところ、ご参加いただいた講演者の豊田高広さん、コメンテータの伊藤丈晃さんに感謝申し上げる。研究者的な観点からではまったく成り立たないこのテーマについて、図書館現場、自治体行政現場からの生の声を届けてくれたので、議論はかなり現実に迫るものになった。そのことは後で報告する。 とくに事前登録もなしに開催したので、どのくらいの人が来てくれるのか読めず、いったん確保した70人規模の部屋を倍の人数が入る部屋に変更した。実際の参加者が70人だった
待ちに待った陸前高田市立図書館の開館 2017年7月20日,陸前高田市立図書館(岩手県)の新図書館が開館した。本稿では,新図書館の概要や開館までの経緯について紹介する。 陸前高田市立図書館は,東日本大震災時の津波で全壊した後,2012年12月1日,仮設図書館として多くの支援を受けながら再開館した。仮設図書館は,浸水区域を避けて建てられた。閲覧室の広さは約50平方メートルであった。 新図書館開館準備のために2017年1月からは貸出を一時休止,新聞と一部の雑誌のみ館内で閲覧するという縮小運営とした。憩いの場として利用してもらおうと2013年6月に始めた「井戸端図書館」(お茶を飲みながらおしゃべりを楽しむ時間)も休止した。そのため,市民は不便に感じていたことと思う。2017年6月30日で仮設図書館を閉館する際には,寂しさと新しい図書館への期待の声が多く寄せられた。仮設図書館の来館者は6年間で3万
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