田村 賢司 日経ビジネス主任編集委員 日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。 この著者の記事を見る
[Question1] IFRSは「原則主義」だと聞きます。今の日本の会計基準とはどのように違うのでしょうか。 IFRS(国際会計基準)と日本の会計基準の違いは何か。こうした質問に対し、よく挙がるのは「原則主義」です。このほかに「貸借対照表重視」「グローバル基準」も大きな違いと言えます(図1)。 IFRSはグローバルの投資家をはじめとするステークホルダーの視点に立った財務情報の開示基準です、このことを念頭に置くと、これら三つの特徴を理解しやすくなります。 特徴1:原則(Principles)主義 原則主義では、会計処理の判断のための数値基準といった具体的な判断基準や処理方法をあまり示しません。原則に従い、企業が自ら判断することになります。 そのため、判断の補足説明として、財務諸表を開示する際に、より多くの注記が必要となります。 原則主義の対極にあるのは規則主義(rules based)です
世界的に会計基準をIFRS(国際財務報告基準)に統一する動きが加速している。日本においては、2010年3月期から任意適用が、2015年には強制適用が開始される。日本での導入には3つの弊害があると筆者は説く。 日本企業を弱くする欧米諸国の陰謀では 国際会計基準を日本企業に採用させようとする動きが進んでいるようだ。私には、このような会計基準を導入しようとする狙いがよくわからない。日本企業を弱くしようとする欧米諸国の陰謀ではないかと物騒な憶測を語る人もいるが、その弊害の大きさを考えればこの憶測は本当なのかもしれないと思ってしまうほどだ。参加することのメリットがよくわからないだけではなく、深刻な弊害も予測される。国際会計基準に同調することの弊害は3つある。 まず第一に、国際会計基準は企業、とくにものづくりや物品やサービスの売買で顧客に価値を提供することを本来の目的にしているふつうの日本企業の理念・
磯山 友幸 経済ジャーナリスト ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。 この著者の記事を見る
損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)がなくなる――。国際会計基準(IFRS)関連の取材で聞いた話で一番、びっくりしたのがこの話だ。記者がIFRS関連の取材を本格的に始めたのは、今から1年半くらい前。当時、記者は主にJ-SOX(日本版SOX法)関連の取材をしていた。J-SOX対応の話を聞こうと訪れた会計コンサルタントの方との雑談の中で「そういえばこんな話が」といって冒頭の話を聞いたのだ。取材先の企業研究や決算記事の執筆など、記者にとって損益計算書と貸借対照表はなじみ深い。それが「なくなる」というのは、「記者だけでなく、企業、そして社会全体に影響を与える大きな話になりそうだ」というのが最初の感想だった。 損益計算書と貸借対照表を読むことは、会計の基本中の基本だと考えている。記者は学生時代、会計関連の授業が一番苦手だった。仕訳、減価償却、配賦などなじみのない言葉が並ぶ。その苦手な授業で最初
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く