「ニートになれ。世界を終わらせろ。」という惹句にとまどってはいけません。これほどわかりやすく仏教を教えてくれるものはありません。仏教といっても宗派によってさまざまな思想がありますが、この本で魚川さんが取り上げたのは「ゴータマ・ブッダの仏教」です。 その解説の手法が秀逸です。「いろは歌」「ニート」「バーゲン」「RPG」、さらには「おっぱい」「中二病」までを駆使しての闊達な会話調での解説は読み出したら止まらない魅力あふれるものです。しかも入門を超えた深さがあります。仏教思想への最良の入り口になっています。 キーワードはふたつ。ひとつは、ゴータマ・ブッダの仏教というのは、「世の流れに逆らうものだ」ということ。もうひとつは「輪廻転生」だと思います。どちらも直感的には分かりにくいか、あるいは誤解しやすいものではないでしょうか。 「世の流れに逆らう」という場合の「世」とは何か……。それは「欲望の対象を