小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」サプリメントを摂取した人に腎疾患などの症状が出て5人が死亡するなど、健康被害が広がっている。紅麹はその名称から、一般に醸造で使われる「麹」と取り違えやすく、過剰に不安視する人の声が後を絶たない。風評被害を憂慮する発酵・醸造研究の第一人者、東京農業大学の前橋健二教授に話を聞いた。 前橋 健二 MAEHASHI Kenji 東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授。博士(農芸化学)。同大応用生物科学部助手、講師、准教授を経て2016年より現職。講師時代の2003年には米国モネル化学感覚研究所にて味覚遺伝子の研究に従事。発酵調味料や味覚研究の研究を専門とする。 麹を使った食品の安全性は確立されている 今回の問題で消費者の間に大きな不安が広がっている。「紅麹」に「麹」の文字が含まれるため、同類のものとして混同されていることや、麹、特に紅麹についての予備知識の少なさが