待望のと言うべきか、睦月都の第一歌集『Dance with the invisibles』が出版された。版元はKADOKAWAで、装幀は花山周子、栞には水原紫苑、東直子、染野太朗が文を寄せている。およそ考えられる最強の組み合わせで、歌人睦月に寄せる期待の大きさが感じられる。中身に入る前にタイトルと造本に立ち止まりたい。 歌集題名のDance with the invisiblesは、「目に見えないものたちとのダンス」という意味だろう。もし定冠詞がなくてDance with invisiblesだったら、何だかわからない不特定の目に見えぬものたちだが、定冠詞があるのでそれと特定されている不可視のものたちである。つまりそのものたちは作者に馴染のあるものたちなのだ。それが何かは詳らかにしないものの、ずっと作者の傍らにいたものと思われる。 花山の装幀は基本的にモダンデザインだが、本書は異なるテイス