機能不全ともいえる日本の医療システムにおいては、病院は新型コロナ患者の受け入れを拒否することができる。病床などのリソースがあるにもかかわらず患者が受け入れを拒否されるという事態となってしまうため、それを埋める形でホテルが利用されている。人口密度が高い日本において、家庭内感染リスクを減らす狙いもある。 2月に新型コロナに感染した田村夏希さん(28)は、仙台市のホテルで、家族から離れて8日間を過ごした。疲労感や喉の痛みはあったが症状は軽症で済んだ。飲食業を営む田村さんは、「家族にうつしたくなかったので本当にありがたかった」と話す。ホテルの部屋で過ごす毎日も「もともと出不精だから苦にならなかった」。 感染拡大を防ぐ手段としてホテルを利用することは、新型コロナによる行動制限で業績が落ち込んだホテル業界にとって救いの手となるため、いまや世界のいろいろな国で定着した。中でも、世界で最も高齢化が進み死亡