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文芸に関するkash06のブックマーク (66)

  • 7人ポッキー - 元うどん

    子供の頃に7人ポッキーの一人になってしまった。夜中に目が覚めたら何故か近所の神社にいてポッキーを一手に持っていた。ホラーだ。 隣の席のAくんも7人ポッキーだった。 ある日、学校の机に出した自分のポッキーをAくんは私に見せてくれた。その後、勢いよく折った。Aくんは私の方を見てどうだ!と笑った。Aくんの背骨も乾いた音をさせながらポッキーと同じ向きで折れた。音はしなかったが私の心も折れた。ホラー。 ありがたい7人ポッキーになった名誉と人を失ったAくんのお母さんは葬式で泣き崩れていたそうだ。その後のAくんのお家は、家業の金メッキ自転車屋の経営がうまく行かなくなり、夜逃げした。 私は震え上がり、また事情を知る親からも優しい圧力があり、ポッキーを大事に保管した。綿でくるんでゾウが踏んでも壊れない筆箱にいれて父が持ってきた手提げ耐火金庫に入れた。 7人ポッキーは古くから受け継がれており、このような場

    7人ポッキー - 元うどん
  • イヴァン・ニトロエフボンバノスキーの労働(未完) - 関内関外日記

    イヴァン・ニトロエフボンバノスキーは軽ワゴンをとめると、「信頼する水を工事」と書かれたキャップを被った。工具箱を持って、その屋敷……今どきめずらしい大きな一軒家のインターホンを押した。 「ご連絡いただきました水道の工事にまいりました」 イヴァンの日語は日生まれの日語話者と区別がつかないほど流暢だ。しかし、イヴァンの生まれはサハ共和国のスレドネコムリスクだ。新生神聖親政大ロシア協力協和帝国連邦の「大破局」の影響で、5年前に日の北海特別領域に逃れてきた。それ以来、いくつかの職でいつなぎながら、首都大都市東京にたどりついた。今の仕事は水道工事の出張サービスだ。 「お待ちしていました。どうぞ」 と、インターホンから若い女の子の声がすると、門がオートマチックに開いた。誘導ホログラムが勝手口ドアへのルートを示した。 勝手口から現れたのは、平成後期型のメイド服を来た女だった。青白い顔色、目の下

    イヴァン・ニトロエフボンバノスキーの労働(未完) - 関内関外日記
  • エレクトロニック動き対最強米帝艦隊(未完) - 関内関外日記

    ポケットロケットブースターの噴射が終わったおれはヴェルニー公園の歩道に激しく体を打ちつけられた。ボロボロのジャージがさらに擦れて、破れた。 おれはフー・マンチューに授かった超電磁アンテナで目的の米帝艦船を探査した。対ESP要員の妨害が入ったが、即座に脳を焼き切って殺した。この任務が露見するのは前提だ。なにより必要なのはスピードだった。 話は3日前に遡る。おれは寿町の喫茶「つどい」にいた。紙パックから注がれたアイスコーヒーを飲みながら、目の前の男の目を見ていた。男の目は濃いサングラスに遮られて見えなかったのだけれど。 「これが、ブツだ」と男。 「これが、ブツか」とおれ。 おれはブツを受け取った。そして、アイスコーヒーのグラスを乾杯するように持ち上げた。サングラスの奥で男の視線が動いた。そして男の記憶は過去28日間に渡って失われた。フー・マンチューから授かった超電磁記憶消去能力サイキックを使っ

    エレクトロニック動き対最強米帝艦隊(未完) - 関内関外日記
    kash06
    kash06 2021/09/18
    ものすごく好き。これがどのような文体にあたるのか知らないけれど、中毒性がありそう。
  • すべすべ新郎新婦 - 元うどん

    「皆様、お待たせいたしました。それでは…新郎新婦の入場です!」 すべすべに磨き抜かれた新郎と新婦が手を取り合って式場の扉をあけ入場してきた。 「結婚式は一世一代の晴れ舞台なのよ!」と豪語していた新婦は、いかにバブル世代であろうとも度肝を抜いて、抜いた度肝が空に飛んで星になる位のドヤドヤデーハーな式にしたい!と言っていた。引き出物は二人の顔写真入り大皿しかない。ゴンドラ、お色直し5回、テントウムシのサンバ、裸踊りの出し物が企画された。新婦人も過酷なダイエットによりライザップのCMみたくテーテッテテーしてスタイルを完成させブライダルエステを行い玉のような肌になったということらしい。新郎もブライダルエステした。そして一対のすべすべ新郎新婦が完成した。 扉を開け意気揚々と光り輝くばかりの二人が手に手を取って笑顔のまま足をつるりと滑らせ、ついた尻で前方に滑った。直線上に鎮座していたウェデングケーキ

    すべすべ新郎新婦 - 元うどん
    kash06
    kash06 2021/09/04
    これは、ものすごく好き……!
  • 悲しき温帯

  • わいせつえんとつの町 - 関内関外日記

    「ではみなさんは、そういうふうに川だといわれたり、乳の流れたあとだといわれたりしていた、このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか」 先生はそういった。そう問うた先生も、その白いものがなにかわからない。ぼくらの町はつねに謎の白い煙に包まれている。 その煙を出しているのは、数百もあるえんとつだ。えんとつはどれもわいせつな形をしていて、大きなものは先端が見えないくらい長かったし、小ぶりながらもどうどうと反り返って、もくもくと煙を出しているものもある。 えんとつをようする工場では、ぼくたちの一族がわいせつ石膏を作るための、たいせつな材料を作っている。この町はそのために作られたのだ。一族のために、一般人の政治の世界で権力をにぎったものがいて、町に危険な発電所を建てたりして、海に面した山あいのこの町を、世間から隠してしまった。そして、町の内外の行き来をたいへんむずかしくしてしまった。 とは

    わいせつえんとつの町 - 関内関外日記
  • 日本SFを海外に積極展開へ 自身も初の小説を発表 日本SF作家クラブ会長・池澤春菜さん:時事ドットコム

    「SFの振興と発展」をテーマに インタビューを受ける日SF作家クラブ会長の池澤春菜さん=2020年12月、東京・東銀座の時事通信社【時事通信社】 2020年9月、日SF作家クラブの第20代会長に声優やエッセイストとして活躍する池澤春菜さんが就任した。その時点では「SF小説の著作を持たない初の会長」だったが、同年12月に初のSF小説「オービタル・クリスマス」を発表した。日のSF作品を積極的に海外へ紹介する意欲を見せるなど会長として精力的に活動する池澤さんに、日SF界の現状や課題、今後の構想などを聞いた。(インタビュアー:書評家・タニグチリウイチ) ―日SF作家クラブとは、どんな組織なのでしょう。 もともとは親睦団体です。作家は横のつながりを持ちにくいので、作家同士が仲良くするために、小松左京さんらの呼び掛けで、西新宿の台湾料理屋さんで発足したと聞いています。それが、私の2代前の会長

    日本SFを海外に積極展開へ 自身も初の小説を発表 日本SF作家クラブ会長・池澤春菜さん:時事ドットコム
  • 世界中の「み」と「き」が入れ替わった。

    世界中の「み」と「き」が入れ替わった。 動物園のキリンはみりんになり、月は罪になって警察にしょっぴかれた。雪ではなく弓が降ってきて、神棚には柿が飾られている(地方によっては牡蠣のところもあるらしい)。 幸いなことに「ぎ」は「み」に入れ替わっていないようだ。鍵は紙にならないし、道は狭まってギチギチになったりしない。 私は埼玉に住んでいるのでよくわからないが、奄美大島は今どうなっているのだろう。甘き大島とかになっているのだろうか。予備校の大島先生は別に甘くなかった。 東京は豆苗になっているらしい。安いしべても2回くらいは再生する。さすが都会だ。 従姉妹のミズキはキズミになっていた。彼女は今逆立ちで生活している。傷身のキズミにkiss meと言ったら文法的におかしいと指摘された。 この異常事態をどうにかせんとして、我こそはと上京した定命の者たちは状況をまだ完全に把握しているとは言えない。これは

    世界中の「み」と「き」が入れ替わった。
  • ジョー・バイデンはすばらしいアメリカン・ポルノ・ショップの夢を見るか? - 関内関外日記

    「隣はポルノ・ショップだが、この場所で合っているのだろうか?」 おれは園芸センターの駐車場でつぶやいた。 おれはアメリカン・ドリームの行きつくところがここにあると知らされやってきた。 「隣はポルノ・ショップで、向かいは葬儀屋だ。間違いないのか?」 おれは初めてのアメリカにいて、だれかに向かってそうつぶやいた。 以前のおれ。25年前のおれには日という国から一歩外に出るチャンスがあった。それは、通っていた中高一貫私学男子校で、参加希望者のみの夏休みアメリカ修学旅行という企画だった。参加者を募る。応募すれば行ける。 おれはそれに参加しないことにした。おれはもとより外に出るのが怖かった。そしてなぜか、銃というものがとても怖かった。おれにはアメリカは無理だな、と思った。おれはアメリカに行かなかった。それ以降、おれが海外に出るチャンスはなかった。 アメリカ行きを決めた連中は意気揚々だった。アメリカ

    ジョー・バイデンはすばらしいアメリカン・ポルノ・ショップの夢を見るか? - 関内関外日記
    kash06
    kash06 2020/11/14
    過去と現在と未来と現実と虚構が、全て1枚のページの上で、素晴らしい表現にされていくのが凄い
  • 柔らかい言葉で - 肉芽観察記

    kash06
    kash06 2020/09/19
    すごく好きな詩だ。ストレートで、かつ柔らかい。
  • 居酒屋「あすなろ」とヤクザと私

    私の今も忘れられないアルバイトは、大学に入学したときのことだから、今から三十年以上も前のことになる。私は何か目的があったわけでも、何かを勉強したかったわけでもなく、ただ単純に東京に出てみたくて北海道から東京にある大学に進学した。 しかし、その大学は一年生のときだけ、埼玉県の大宮市にある校舎で学ばなければならなかった。私は仕送りをあまりしてもらえなかったので、その校舎の裏手にある部屋代が格安の学生寮に住むことにした。しかし、その校舎の周辺はほとんど家も店もなく、寮生たちのほとんどは自炊しなければならなかった。お金のない私は費を浮かすためにも事つきのアルバイト先を探したのだが、繁華街は大宮駅周辺しかなく、寮から大宮駅に行くにはバスで二十分ほどもかかる。当時は、まだコンビニがあること自体珍しく、ファミリーレストランも見かけることがほとんどない時代だった。だから、学生のアルバイトといえば、喫茶

    居酒屋「あすなろ」とヤクザと私
    kash06
    kash06 2020/08/01
    こうまでして続けた大学を中退してイランに行くのだけど、なんか、「よっしゃ、バイトしよう!!!」ってレベルのコラムじゃない
  • フォトジェニック - フォトジェニック(秋永真琴) - カクヨム

    章子(あきこ)が帰ってこない。 彼女が僕の部屋にときどき泊まるようになって二ヵ月が経つ。来るはずなのに連絡もなく来ないこともたびたびあり、そういうひとなのだと受け入れているけれど、今晩だけは穏やかでいられなかった。 夕方までゼミがあるとは聞いている。しかし、もう九時だ。章子の通う大学から、僕の部屋がある発寒(はっさむ)まで、地下鉄とJRを乗り継いで三十分もかからない。 「いまどこ?」とメッセージを送ったが、返信はない。既読のチェックもつかない。めずらしいことではなかった――という僕は、彼女のなんなのだろう。つき合ってからの半年間で百回くらい沸いた疑問が、また頭をもたげる。 事故にでも遭ったのか。まさか。でも可能性はゼロじゃない。最終手段――電話をかけてみようとしたとき、アパートの階段を昇る足音が壁越しに聞こえてきた。 鍵がはずされて、ドアが開く。この部屋のスペアキーを持っている人間はひとり

    フォトジェニック - フォトジェニック(秋永真琴) - カクヨム
  • すべての六月のはじまりに - 関内関外日記

    この地方も半月つづけて雨になった。湿気がまとわりつくようになった。露で濡れた芝生には寝っ転がることもできない。おれは一人、静かな部屋で椅子に座っていた。ただ、椅子に座っていた。人の気配もなかった。塩のスープと黒パンをとると、おれはまたベッドに戻った。ただ倦怠感だけがそこにはあった。寝るでもなく寝ないでもなく、おれはベッドに横たわって虚空のなかにあった。 コトン。 郵便受けになにか入る音がした。ドアに穴が開いているものが郵便受けというのならば。おれは冗談みたいにゆっくりとした動きで、ベッドから立ち上がり、ゆっくりとドアの方に向かった。そこには、梱包された二枚のマスクが落ちていた。こんな文明がない場所に、文明の切れ端が届いた。おれはおかしくなって、包みからマスクを取り出し、耳にひもをひっかけた。たしかにこれはマスクだ。マスクのにおいがする。これで外に出られるのだろうか。日光を浴びながら自転車

    すべての六月のはじまりに - 関内関外日記
  • 新コロナウイルス対策失業団戦記 - 関内関外日記

    その晩の夕のメニューは、いつもどおりのすいとんともやしの和え物だった。すいとんといっても、味のない、ぬるい塩スープに白いかたまりが浮かんでいるだけだ。 事の号令を待っていると、そこへ監視官が入ってきた。汚れてベージュ色になったマスクの紐を右側だけ外し、副首相スタイルでがなり始めた。 「今夜は、明日の迎撃戦をひかえた大切な夜である。ここ横浜は首都防衛の最後の盾だ! そこで、農林水産上級副大臣閣下より、ありがたいお気持ちを頂戴した! これを糧に、明日の戦闘に打ち勝てる!」 すると、薄汚れた白衣の給仕班が入ってきて、ソーシャル・ディスタンスを守っているぼくたちのプレートに、肉のかけらとメロンを置いていった。 「事、開始!」 ぼくたちはそれぞれの、ぼろぼろのマスクを外して、事を始めた。原則、会話は禁止されていたが、一人の男がつぶやいた。 「おれ、ステーキ・チェーンで働いていたからわかるんだ

    新コロナウイルス対策失業団戦記 - 関内関外日記
  • カロリーメイト - 肉芽観察記

  • 王国 - 肉芽観察記

  • 火を - 肉芽観察記

    kash06
    kash06 2019/12/12
    「命の恵みを齎す」水や大地にそう名付ける事はよく見かけるけど、地上を舐め尽くす火に、それを見出すのは面白い。あらゆる動植物が燃えて命を落とす火と、恵みと。(そういえば宗教的な比喩では火が使われるか
  • 犯罪者には田中が多い - 犯罪者には田中が多い(柞刈湯葉) - カクヨム

    「田中はやめたほうがいいです」 編集のO田川氏は開口一番にそう言った。都内某所の喫茶店で「魔法少女探偵アガサちゃん」の次話ネームを見せていた時だった。 「月刊少年ボウイ」のO田川氏はもう5年も僕の漫画を担当していて、それなりの信頼関係ができている。社交辞令的な褒め言葉は省いて単刀直入に打ち合わせを進めよう、というのが暗黙の了解だ。最近はネームを見せる前からO田川氏が不満を言いそうな点が予想できてしまうので、何を言われても大したダメージはない。だが、今回は一瞬コメントの意味がわからなかった。 「は? 田中?」 「この容疑者の女性、ホラ、田中久美恵さんって書いてるですか。名前、変えたほうがいいです」 「……ああ、それですね」 「魔法少女探偵アガサちゃん」は、コミカルな女子中学生が魔法で事件を解決するミステリ漫画。今回は温泉回だ。露天風呂で宿泊客の遺体が発見され、警察は火山ガスによる事故だと判断

    犯罪者には田中が多い - 犯罪者には田中が多い(柞刈湯葉) - カクヨム
  • ぼくは『桜を見る会』に行った - 関内関外日記

    「祖父が倒れたらしいので、ちょっと村に帰って様子を見てきてくれないか」。東南アジアのどこかの工場で働いている父から連絡が入った。とりわけ忙しくもない大学生のぼくは、東京をあとにして、州最北の田舎に急いだ。季節は冬に入るころだった。 村は東京に比べてひどく寒かった。村は山の中にあった。雪はまだ降っていなかった。 祖父は床に伏せっていた。自分の記憶より、さらに老いて小さくなっていた。 「じっちゃ」と、ぼく。 「……おう、来たか」と、祖父。 ぼくの目を見据えると、こう切り出した。 「おまえに、頼みたいことがある。わしの代わりに、あの荷を『桜を見る会』に届けてくれんか……」 祖父は部屋の隅を指差した。そこには、きれいな織物に包まれた桐の箱が積み重ねられていた。 「曲げわっぱけ?」とぼく。 祖父は古くから続く曲げわっぱ職人の子に生まれた。祖父も小さなころから修行を積み、曲げわっぱ職人になった。その

    ぼくは『桜を見る会』に行った - 関内関外日記
    kash06
    kash06 2019/11/23
    すごい、力作だ! いつまでもこのままでいい。それは嘘、間違ってる。と続けたくなる。
  • 寄り添わず - 肉芽観察記

    寄り添わず きみはきみの足で 僕は僕の足で 歩いて行こう 疲れたときは 少しゆっくり 元気なときは 膝を上げて 立ち上がれないほど 苦しいときは 声をかけてください 寄り添わず きちんと手を握るから

    寄り添わず - 肉芽観察記
    kash06
    kash06 2019/11/08
    生きる強さを信じた、あるいは逆に寄り添う事の困難さを織り込んだ、染み入る作品だ