痴漢抑止バッジを手にする殿岡たか子さん(仮名)。会社員になった今も電車に乗る時はつけているという=東京都豊島区で2022年5月21日午後3時5分、国本愛撮影 女子高校生は折れなかった。あの卑劣な痴漢たちには負けないと。泣きながら登校した日も、家から出られない日もあった。でも、母と悩みながら考えた一枚のカードが救ってくれた。今、それは満員電車などで痴漢を遠ざけるための缶バッジに姿を変え、女子学生たちの身を守っている。【国本愛】 高校入学2日目、悪夢始まる 東京都在住の会社員、殿岡たか子さん(24歳、仮名)が初めて痴漢に遭ったのは2014年4月、高校に入学し2日目の朝だった。 登校するため東京と埼玉をつなぐJR埼京線の満員電車に乗っていると、誰かの手の甲がお尻に当たっているのに気づいた。 「偶然だ」。最初はそう思った。だが、やがて手のひらに変わって、お尻を上下になぞるようになり、最後はぐっとつ