不倫相手の娘を誘拐した野々宮希和子は、その子を薫と名付け逃亡。岡山からフェリーに乗り、小豆島へとたどり着く――。 映画「二十四の瞳」の舞台として有名な香川県の小豆島。だが近年は、テレビドラマや映画にもなったベストセラー小説「八日目の蝉」の舞台として、「希和子と薫が逃げて来た島」という印象の方が強い読者も多いと思う。 同小説の中で小豆島は、希和子と薫が実の親子のように過ごし、二人のかけがえのない幸せな思い出が残る“救いの島”として描かれている。だが現実のこの島は今、極めて巧妙な手口の金融詐欺が横行する舞台となっているのをご存じだろうか。 架空の株投資で1400万円が消える 「架空の株取引だったのに、いつもお世話になっているからと、詐欺師に小豆島で採れた野菜を宅配便で送ったりしていた。すっかり騙され、本当に悔しい」。小豆島在住のYさん(70代)は、沈痛な面持ちで、被害の全容を打ち明け始めた。Y